最近聴いたCD

フレデリック・ディーリアス:『夏の夕べ』

トーマス・ビーチャム指揮  ロイヤル・フィルハーモニー管


今年の夏、軽井沢周辺の道路の混み具合は、ここ数年ではダントツに多かったように思います。

よほど暑かったのでしょう、皆さま高名な避暑地に涼を求めてやって来られたのだと思います。

ところが、前回も書きましたが、当地の8月上旬の最高気温は、昨年と比べて5℃ほど高目…。

近年の地球温暖化現象の影響から、定住者の家庭の大半はクーラーが設置されているようですが、

別荘地でクーラーを設置しておられるお宅は、少ないようです。

そのため、町内にある別荘族御用達のスーパーは、午前中と午後の二回、涼みがてらに買い物に来られる方で、広大な駐車場は満車状態!

「暑いですね。ここに買い物に来ると、ホッとしますよ!」。

まるで、都会のデパートのような会話が聞こえてきます。


お盆も過ぎて8月18日だと言うのに、今日も全国各地で猛暑日を観測した地域は100か所を超えたとか…。

それでも標高950mの恩恵か、夕方風呂上りに庭に出ると、心地よい風に気持が癒されてきます。

自然の中に住むことによって享受できるこんな幸せな気持って、

T.ビーチャムが指揮する、ディーリアス(1860-1934)の『夏の夕べ』を聴いた時の感慨と、不思議なほどに感覚が一致するように思えます…。


1890年、30歳の頃に作曲されたこの管弦楽のための小品は、

あるがままの自然の姿から受けた静かな感動が、瑞々しい感性で表現された佳曲。

冒頭の木管楽器の奏でる残照や鳥の鳴き声を髣髴させる旋律のひそやかな美しさから、穏やかな夕べの時へと誘われていきます。

ビーチャムの演奏が素晴らしいのは、

自然の中に佇みながら刻一刻と迫り来る夜の帳や、吹く風の流れの変化にささやかな喜びを感じつつ、

それが静かな感動へと高まっていく、そんな幸福な時間が共有できるところ…。

最高級の清涼剤と言える、素晴らしい演奏です!

ホームページへ