初めて書かれたピアノ協奏曲ですが、グロテスクな曲想、打鍵中心としたピアノの扱い、曖昧な調性など、
後年の作品とも共通した自身の書法に目覚めており、半民族的・半ロマン的性格が明確に打ち出されています。
最近、ブロフマンのピアノ、メータ指揮するイスラエルフィルによる演奏を聴いて、俄かにこの曲が好きになりました!
第1楽章は、青雲の志を抱く青年プロコフィエフのあくなき挑戦心を思わせる、理想に燃えたぎる熱い音楽によって支配されています…。
途中、静寂に響く茫漠としたチューバの音色に絡む独奏ピアノの、美しいこと!
第2楽章は、夜の静寂を思わせる静謐なオーケストラ伴奏の中、
何かを模索するようにさすらう独奏ピアノの繊細で瑞々しい感性が、
底知れぬ深みを湛えつつ、感動的に高まっていきます…。
恰も勝利の凱歌を思わせるように、喜びに満ちた音楽で開始される3楽章。
ピアノの技巧がフルに駆使されるかのように、曲は華やかさを増しながら展開して行きます。
そして最後には、第1楽章冒頭部が、讃歌のように高らかに回帰して、感動的に曲は終わります。
翌年に作曲された第2番と比べると、奇矯なモダニズムなどは希薄ですが、類稀な才能を有する青年作曲家の瑞々しい感性の芽生えが随所に感じられる傑作だと思いました。