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オットリーノ・レスピーギ:
リュートのための古代舞曲とアリア第1番

ネヴィル・マリナー指揮  ロス・アンジェルス室内管


レスピーギは過去の歴史を秘める永遠の都ローマに魅せられ、有名なローマ三部作を作曲しましたが、

その一方では多くの時間を、母国のルネサンスやバロック期の作品の研究に費やし、自らの音楽に適用させようとしました。

その成果の一つが、3集からなる『リュートのための古風な舞曲とアリア』。16〜17世紀のリュートのために書かれた曲に、近代管弦楽法の粋を纏わせた作品です!


1917年に作曲された『第1組曲』は、16世紀のリュートのための作品8曲(作曲者不詳を含む)を組み合わせて、4曲の管弦楽作品としました。

原曲を忠実に採り入れた上で、4曲それぞれに相応しい異なった楽器編成が採られており、

ルネッサンス期の音楽の持つ雅さを残すと同時に、

それとは趣の異なったロマン派のような、時に近代音楽のような楽想を堪能できる作品集です。


第1曲:小舞曲「オルランド伯爵」
標題の意味するところは分かりませんが、弦楽合奏とチェンバロによって奏される舞曲は、明るく晴れやかなもの。少し憂愁を帯びたオーボエのチャーミングな音色には、取り合わせの妙が感じられます。

第2曲:ガリアード舞曲
16世紀イタリアの3拍子の舞曲。鐘楼から流れる鐘の音のように大空に拡がるような伸びやかな舞曲と、
中間部のまどろみを思わせるような牧歌的な旋律の対照の妙…。

第3曲:ヴィラネルラ
「田舎の歌」を意味する、16世紀ナポリを起源とする声楽の一形式。
ハープの伴奏に乗って歌われるオーボエの音色は、月明りのもとで古を語る吟遊詩人を髣髴させるような、大変にロマンティックな音楽です。

第4曲:パッサメッゾ舞曲と仮面舞踏会
パッサメッゾは、2拍子系の舞曲。
幾つかな舞曲が趣を変えて次々と登場する、華やかな音楽です。


マリナー指揮による演奏は、随所に典雅さの中に、穏やかな品の良いロマンが漂うもの。

この曲集の理想的な演奏だと思います!

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