最近聴いたCD

ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ『ウィーンの森の物語』

ウィリー・ボスコフスキー指揮  ウィーン・フィルハーモニー管
アントン・カラス(ツィター)


作曲者のJ.シュトラウス2世自身が、「ウィーンの空に流れる音楽を、ただ譜面に書きとっただけ」と言ったこの曲は、

多くの人々から「ウィーン人の魂の歌」とも評され、『美しく青きドナウ』と人気を二分する、彼の代表作と言われています。

曲は120小節に及ぶ序奏部と5つのワルツ、回想風のコーダによって構成され、

特に序奏部と、コーダの回想部には南ドイツからオーストリア地方の民族楽器ツィターが使われていることでも有名です!


今日エントリーする演奏は、ボスコフスキー指揮するウィーン・フィルによる1962年の録音。

ツィター独奏は、映画『第3の男』で一躍世界的に有名になったアントン・カラスです。

この演奏を聴くようになってからは、序奏部の爽やかさに思わず聴き耳を立て、シュトラウス2世が「譜面に書きとっただけ」と言った言葉が、単にウィーン人のプライドをくすぐる口上とは思えなくなって…。

冒頭の夜明けの兆しを思わせるホルンとクラリネットの音色、

チェロ独奏による日の出前の暗く静かな森の雰囲気、

ホルンの響きによる夜明けの訪れが、

フルートに引き継がれて、鳥の囀りが聞こえ始め、

ツィターの爪弾きが、鳥の声を聴きながら目覚める穏やかな生活を思わせ、

独奏ヴァイオリンの奏する素朴な舞曲から、主部の華やかな5つのワルツへと橋渡しするこの序奏部は、

ウィーン・フィルの魅力が最大限に満喫できる、素晴らしいものだと思えます。


主部の5つのワルツも、他のどの作品と比べても、その表情が千変万化するという点では、この曲が一番ではないでしょうか。

最近は、自分に取ってこれまで馴染めなかった音楽に興味を惹かれることが多くなりましたが、

でも、昔から聴き慣れたこんなお馴染みの曲から新たな感慨を得ることもあり、

「これまで何を聴いてきたのか」と、ふと思うのです…。

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