自ら『ズロニツェの鐘』と命名し、ドイツのコンクールに出品したもの。
しかしこの曲は賞を受けることができず、提出した楽譜も返却されなかったために、長らく行方が分からないままになっていました。
しかしドヴォルザークの死後20年近くが経った1923年に、プラハに住む歴史学者の遺品の中から発見され、1935年ようやく初演にこぎつけました。
タイトルにある「ズロニツェ」とは、プラハ西方にある町の名前で、ドヴォルザークが家業の肉屋を継ぐために、少年時代の4年間を修行のために過ごした町。
この土地での想い出が込められていると考えても、まんざら的外れではないと思います。
第1楽章、冒頭の明るく力強い序奏に続き、鐘の音を髣髴させるような爽やかなリズムに乗って奏される第1主題は、若々しい魅力が感じられる音楽。
耳を傾けると、狩りを告げるホルンの音、教会の礼拝を思わせるオルガンの響き等、
修業時代のドヴォルザークがズロニツェで耳にしたであろうあろう数々の音が、懐かしく聞こえてきます。
第3楽章は、愛らしさすら感じられる愉しげな舞曲…。
第4楽章では、牧笛が響き、颯爽とした行進曲風の音楽が…。
これがフーガ風に展開され、若々しい気分の高まりから、最後は誇らしげに曲を閉じます。
溢れ出る瑞々しい旋律がてんこ盛りされたようなこの交響曲は、
後年の作品のように、印象的な旋律が発展・展開していく充実感には欠けるものの、
随所で爽やかさが横溢した、大変に美しい音楽!
私が聴いた中では、ノイマンの演奏に強い郷愁を感じるのです…。