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アーロン・コープランド:バレー音楽『ロデオ』

レナード・スラトキン指揮  セントルイス交響楽団


この曲は、アメリカ西部のある地方で、ロデオ競技が行われた一日の出来事を追ったバレー音楽で、

曲名の『ロデオ』とは、暴れ馬を乗りこなすカウボーイの一種の余興のこと。

「カウボーイの休日」「畜舎のノクターン」「間奏曲と土曜の夜のワルツ」「ホーダウン」の4曲から構成されています。


粗筋は、村一番のカウボーイに熱を上げた牛飼いの娘が、彼の気を惹くために男装してロデオに挑戦しますが落馬し、逆に周囲の顰蹙をかってしまいます。

しかし、その夜のダンスパーティーでは、彼と踊りたい一心から、いつもの作業服を着替え、正装して会場へ。

その美しさに、全ての人が驚嘆しますが、件のカウボーイも、それまでは振り向きさえしなかった彼女をダンスに誘います。

その豹変ぶりに疑心を抱いた彼女は、申し出を断わり、以前から優しくしてくれた男性と仲睦まじく踊る…、そんな物語です。


第1曲「カウボーイの休日」は、カウボーイ・ソングを素材にした、陽気であっけらかんとしたお祭り騒ぎが…。
トロンボーンのソロが凄く印象的な音楽です!

第2曲「畜舎のノクターン」では、夜想曲の名に反して、昼下がりの気だるいまどろみを思わせる、牧歌的な雰囲気が漂います。

第3曲の「間奏曲」部分は、アメリカ地方都市の場末の酒場の雰囲気を出すために、わざと調律を狂わせた古いアップライトピアノが使われていますが、この味わいが素晴らしい!

同じ第3曲「土曜の夜のワルツ」部分の、オーボエのソロがか細く奏でるOld Paintというアメリカ西部の民謡は、
室内の舞踏会場から洩れ聞こえてくるワルツを、夜の静寂の中で聴くという趣が感じられ、
そこに漂う哀愁が、味わい深い懐かしさを醸し出しています。

第4曲の「ホーダウン」とは、アパラチア山脈の南部山岳地帯の踊りの音楽。
武骨で力強いものですが、どこかユーモラスさを感じる音楽です。


スラットキン指揮するセントルイス交響楽団がこの曲を録音した1983年、アメリカ「タイム」誌が、全米オーケストラベストテンを発表。

シカゴ交響楽団に次ぐ第2位にこのオケを挙げ、

長らく常連だったシカゴ・ニューヨーク・ボストン・フィラデルフィア・クリーヴランドの五大メジャー・オケの一角を崩したことで、大きな話題を呼びました。

アメリカの曲らしい精彩に富んだ躍動感の中、豊かな情感を感じさせる演奏は、ストレスフリーに楽しめる、一服の清涼剤のように思います。

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