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カミュー・サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番

ガブリエル・タッキーノ(P)
ルイ・ド・フロマン指揮  ルクセンブルク放送管弦楽団


サン=サーンス(1835-1921)は、素晴らしい天分に恵まれた作曲家であり、素晴らしい技巧をもったピアニスト・オルガニストであり、19世紀フランスの典型的な教養人の一人。

多彩な才能は音楽分野のみにとどまらず、詩、天文学、数学、絵画の分野でも、一流の域に達していたと言われています。

彼は自身の音楽作品について、「あたかも、林檎の木に林檎がなるように作曲した」と発言して、天才ぶりを誇示したとか!

そのせいか、「薄味な作品が多い」「玉石混交」等の批評も多く聞かれます。


今日エントリーしたピアノ協奏曲第2番は、第4番と並んで人気の高い作品。

全曲演奏に約22〜24分を要する作品ですが、作曲を開始してから僅か3週間後には初演にこぎつけたとか…。そんな天才ぶりが示された作品!


ピアノ独奏で開始される第1楽章冒頭は、まるでバッハの組曲の前奏曲を思わせるような即興性に溢れたもの。

サン=サーンスには珍しく、深い憂愁が漂います。

導入部が一段落すると、仰々しくオケのトゥッティで盛り上がりますが、

直ぐにオーボエのソロに導かれて、美しく可憐なピアノのモノローグが開始されます。

モノローグがしばらく続いた後、息もつかせず一直線にが盛り上がっていく高揚感は、特筆すべき素晴らしさ!


第2楽章は、心が浮き立つような音楽です!
口笛を吹きながら、時々スキップを踏みながら、口笛を吹いて散歩するような、明るい音楽!

第3楽章は、ピアノとオケの掛け合いがなんとも楽しい音楽。
対話を仕掛けるオケに対し、我関せずとばかりに、唯ひたすら華麗に喋りまくるピアノ…。
ユーモアと明るさに富んだ、実に楽しい楽章!


今回初めて聴いたフランス人ピアニストであるガブリエル・タッキーノの演奏は、「飾り気のない粋」とでも表現すればいいのでしょうか。

ピアノパートに、美しく清楚でありながら、それでいてきっぱりとした女性像を髣髴してしまいます。

指揮者もオケも初めて聴く名前でしたが、この曲の楽しさを満喫させてもらいました。

こんな知られざる名盤が存在するのですね。

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