どちらも大好きな作曲家で、愛聴曲も多いのですが、
中には結構評判が良いにもかかわらず、聴いて「?…」と思える曲も少なからずあるのですが、
そんな曲に関しては、大半がごく限られた演奏しか聴いておらず、自分の感性では受け容れられない場合が圧倒的に多いようです…。
今日エントリーするピアノ三重奏曲第1番も、そんな曲の一つ。
超有名な、大家による演奏で聴いていたにもかかわらず…、です。
ところが、さして評判にもならないこの演奏によって、私の曲に対するこれまでのイメージは、完全に払拭されました!
第1楽章、ふつふつ湧きあがるような情念の流れをピアノが奏する中、
心の疼きを訴えるようなヴァイオリンそしてチェロが奏でる旋律の切なさ、いかにもシューマンらしいメランコリーに満ちた冒頭部です。
展開部での、煌めくように奏でられるピアノの中、ヴァイオリンとチェロのが語り合う愛らしさ…。
第2楽章は、冒頭に感じられた焦燥感が、次第に高揚感へと変わっていくような、不思議な印象を抱くスケルツォ…。
この演奏後半部の悦びに満ちたリズムは、特筆ものと感じられます。
第3楽章の開始部、ヴァイオリンが孤独感に満ちた独白と、それを受け継ぐチェロの深い物想いに沈んだ憂愁。
「シューマンのロマンの世界、ここに極まれり」と感じられる素晴らしい瞬間が、度々訪れます!
切れ目なく続く第4楽章は、冒頭から解き放たれた歓びが…!
フランス生まれで、パリを中心に活躍する演奏家達によるシューマン。
この演奏の素晴らしさは、ヴァイオリンとチェロの奏でる若々しく繊細な感情表現もさることながら、
全曲を通して、決して出しゃばらずに弦の美しさを引き立たせる、ユボーのピアノにあるのではないでしょうか。
素晴らしいシューマン演奏だと思います!