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グスタフ・マーラー:さすらう若人の歌

ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮  フィルハーモニー管


マーラー(1860-1911)が24歳の時、自らの失恋体験を綴ったと言われる4つの詩にピアノ伴奏を付けて、歌曲集『さすらう若人の歌』を完成させましたが、

1890年代初頭に、ピアノ伴奏部分をオーケストレーション化した上で出版されました。

マーラー最初の連作歌曲集であり、詩の内容から推しても自伝的な作品と考えられ、彼の作品中でも人気の高い曲として知られています。


日本では1970年代に始まったマーラーブーム以前から、この曲の人気は高かったようですが、

その大きな理由の一つとして、今日エントリーする1952年に録音されたフィッシャー=ディースカウのバリトン、フルトヴェングラー指揮するフィルハーモニア管弦楽団の演奏の存在を抜きに、考えることはできないでしょう。

LPでこの曲を初めて聴いた時、森羅万象を包み込むような尋常ならざる懐の深さを感じさせるオーケストラ伴奏の中、

“Wenn mein Schatz Hochzeit macht”と歌う、フィッシャー=ディースカウの若々しいバリトンが響き渡った時、

まっさらな音楽が今まさに誕生する瞬間に出遭うような、

鳥肌が立つような感動を覚えたことを、今でも鮮明に思い出します。


第1曲:恋人の婚礼の時
第2曲:朝の野を歩けば
第3曲:僕の胸の中には燃える剣が
第4曲:恋人の青い瞳

以上4曲からなるこの歌曲集は、

失恋の痛手に誰もが悩み苦しんだであろう張り裂けるような思い(第1〜3曲)と、

時の経過によって癒され、新たな旅立ちに向かう若者の姿を歌ったもの(第4曲)。


このディスクに関しては、これ以上書くことは何もありません!

もし未だお聴きでないのなら、是非一度お聴きになることをお薦めします!

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