最近聴いたCD

カール・マリア・フォン・ウェーバー
ピアノと管弦楽のためのコンチェルトシュトゥック
(小協奏曲)

アルフレッド・ブレンデル(P) 
クラウディオ・アバド指揮  ロンドン・フィルハーモニー管


ウェーバーと言うと、古今の有名な作曲家が年代順に紹介されていた中学時代の音楽の副読本に、

「ドイツの大自然の風物と民族芸術に深く根ざしたロマン派音楽の確立者」

確かこのような内容の肩書で、ベートーヴェンの次、シューベルトの前のページに登場していた(記憶違いかもしれません)作曲家、

その後に加えられた知識として、代表作『魔弾の射手』の舞台となった「ドイツの鬱蒼とした深い森」をイメージさせる作曲家…。

我が家のCD棚には、そんな中学時代の不確かな記憶に準じて、ベートーヴェンとシューベルトの間に挟まれて、ささやかなスペースが確保されています。


この曲は、歌劇『魔弾の射手』がベルリンで初演される日(1821.6.18)の朝に完成したとか…。

LP時代にブレンデルのピアノ、アバド/ロンドンフィルのライナーノートで読んだ記憶によると、

前半部は、十字軍の一員として戦地に赴いた夫(騎士)に想いを馳せる妻の不安な心情、

そして後半部は、凱旋帰国する行軍の中に夫の姿を見つけ、その再会に歓喜する情景を描いた、描写音楽的な内容…。


1979年に録音されたこの演奏は、前述した「鬱蒼としたドイツの森」のイメージこそありませんでしたが、

明快で馴染み易く、当時30歳代前半だった私は結構好きで、繰り返し聴いたものでした…。


先日、オピッツのピアノ、デイヴィス/バイエルン放送饗で聴いたこの曲は、

冒頭から厳かな雰囲気が漂い、「鬱蒼としたドイツの森」で繰り広げられる騎士道物語聴くような、叙事詩的な表現です。


抱いていた曲のイメージと余りに異なるために、30年振りにブレンデル盤を取り出して聴きましたが、

こちらは中世の物語に登場する騎士と高貴な淑女との関係を描いた、叙情詩的な演奏。

煌びやかで華やかな場面が随所に感じられるピアノパートから、彼が『舞踏への勧誘』の作曲者であることを思い出しました…。

どちらも味わい深い演奏だと思いますが、オピッツ盤は現役盤としては発売されてないようですので、ブレンデル盤をエントリーしますが、

もし機会があれば、オピッツ盤も是非比較して聴いてみてください。

好対照な表現が楽しめると思います!

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