現在、世界で最も頻繁に演奏される、人気の高いヴァイオリン協奏曲の一つでもあります。
シベリウスはこの曲を1903年に完成、翌年2月に自身の指揮で初演されましたが、
絶賛された第1、2番の交響曲のような讃辞が得られず、曲が冗長に過ぎるとの批判もあったために大幅に改定された結果、
オリジナル版は封印され、現在ではシベリウスが公認した1905年版が使用されています。
ただこのオリジナル版は、シベリウスの家族の承認を得た上で、唯一ヴァンスカ/ラハティ管弦楽団による演奏がCDとして存在します。
こtrは現行版とは大きく異なり、野性味を感じさせる魅力ある曲だと思いますので、後日改めてエントリーさせていただきたいと思っています
今日エントリーするディスクは、CDの黎明期に買った3800円の国内盤。
ところが初めて聴いた時から、オーケストラが茫洋として甘ったるく、
クールで透明感の高いクレーメルのヴァイオリンと噛み合わないように感じましたし、
その後も何度かプレーヤーのトレイに載せましたが、最初の印象は変わらないままで、すっかりお荷物扱いしていた1枚でした。
しかしながら、年月の経過とともに私の感性も変わってきたようです。
昨日久しぶりに聴いたこの演奏でしたが、
茫洋としたロマンの香りの中、孤独な青年の心情が露わに感じられる、何とも魅力的な構図が浮かび上がってきたのです。
第1楽章、嘗て聴いたのと同じように茫洋と感じられるオケをバックに、
他の誰よりも儚い弱音で奏されるクレーメルの演奏に、瞬時に惹きつけられました。
ムーティの指揮するオケも、荒涼とした北欧の大地を直接的にイメージさせるものではなく、
深いロマンに包まれ、時に吐息が混じるような心象風景を髣髴とさせるような演奏!
そのために、嘗ては甘ったるく感じられたのでしょう。
第2楽章では、こうこうと輝く月光の下に佇む孤独な青年の姿が…。
ヴィヴラートが抑制されたヴァイオリンの響きと、当意即妙とも思えるムーティの細やかなサポートが、絶妙の美しさを紡いでいく楽章です。
終楽章では、野生的なリズムに翻弄されるように奏される儚げなヴァイオリンの音色が、とりわけ印象に残りました!!
自分の感性が及ばずに、その良さを味わうことができないディスク、まだまだ我家のCD棚に眠っていそうです!