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ワシリー・カリンニコフ:交響曲第2番 

ネーメ・ヤルヴィ指揮  スコットランド国立管弦楽団


ロシアの作曲家カリンニコフ(1866-1901)は、経済的には恵まれない家庭に生まれました。

幼い頃から楽才を顕わし、14歳で地元の聖歌隊の指揮者を務め、その後モスクワ音楽院に進みますが、学費が払えずに退学。

劇場の楽団でファゴット、ティンパニー、ヴァイオリン奏者として働く傍ら、空いた時間には写譜をすることによって生計を立てていましたが、

過労が祟り結核に罹患、34歳という若さで亡くなりました。


彼の作風は、チャイコフスキーに倣って西欧的な構成を採っているものの、旋律や和声法には、民謡や民族音楽からの影響が色濃く反映されたもの。

今日エントリーする交響曲第2番にも、ロシア的な舞曲や、時にボロディンの曲かと思えるようなエキゾチックな旋律が随所に登場します。


第1楽章、民謡風の第1主題が途中からカノン風に展開されることによって徐々にこの主題に郷愁を覚えていくという趣向、素晴らしいと思います…!

第2楽章は、この曲の白眉かと思います!
第1楽章の第1主題が、趣を変えてイングリッシュホルンによって切々と奏でられ、その感慨が高揚してクライマックスに至る部分は、
恰もロシアの大地に沈みゆく夕陽を髣髴させるような、壮大なロマンが感じられる素晴らしい音楽です!

第3楽章は、草原に舞う風を思わせるような、牧歌的な雰囲気を湛えた楽しげな舞曲。
トリオ部では、女性の舞を思わせるような穏やかな舞曲が登場します…。

第4楽章は、先ずホルンとイングリッシュホルンによって、穏やかな黄昏の訪れを…
続いて、活発な舞曲と異国風の美しい旋律が絡み合いながら曲は進みますが、
コーダ部に入ると、誇らしげに大きな盛り上がりをみせ、祖国讃歌の趣を湛えつつ終了します。


ヤルヴィ/スコットランド国立管の演奏は、幾つか聴いた中では飛びぬけて爽やかで、美しいと感じたもの!

カリンニコフの旋律は、一聴して心惹かれるような華やかさこそありませんが、聴き込むほどに味わいが深まる音楽だと思います。

ロシア音楽好きな方だけではなく、スメタナやドヴォルザークといったチェコ国民学派の音楽を愛好される方にもお薦めしたい佳曲だと思います。

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