最近聴いたCD

J.S.バッハ:前奏曲とフーガ イ短調 BWV543 

オルガン:ウォルフガング・シュトックマイヤー


昨年の暮れからですが、これまでほとんど知らなかったバッハのオルガン曲を、ぼちぼちと聴き始めています。

そもそも、私がバッハを聴き始めたのは極めて晩熟で、40歳代の半ば過ぎでしたが…。

その理由については、こちらをご覧ください。


それから15年ほどが経過して、大概のジャンルは一通り聴きましたが、

作品数の膨大な声楽曲やオルガン曲については、何から聴き始めたものやらとっかかりが掴めず、逆に手つかずの状況。

昨年のことですが、バッハのオルガン曲全集が1巻、2巻合計でCD20枚分が、4000円にも満たない値段で発売されていることを知りました。

ウォルフガング・シュトックマイヤーというオルガニストの名前は初耳でしたが、とっかかりをつけるために「この値段なら外れても諦めがつく」と考えて、さして期待もせずに注文したのですが…。

これは私にとっては、超お買い得品でした!!

先ずは、それまでに所有していた演奏と聴き比べることから始めたのですが、この人のバッハ演奏は、これまで聴いた範囲のどの演奏家よりも心静かに傾聴できるもので、私には極めて相性が良いようです。

そんなことで、ぼちぼちと気長に、全集を聴き進めているところです…。


その中で、今日エントリーするBWV543の『前奏曲とフーガ イ短調』は、以前から他のオルガニストの演奏で知ってはいましたが、「こんなすごい曲だったの!」と目から鱗が落ちた演奏!

不安と激しい情熱が入り混じった表現が鎮まると、彼方に光を求めるかのような感動の高まりへと昇華していく前奏曲部分!

希望に満ちて歩みを開始するような主題に始まり、一つ一つの音が積み重ねられて、壮大な建築物を築き上げるようなフーガ。

ただシュトックマイヤーの演奏は、縦への構築性が強く意識されるフーガ部においても、横の静謐で美しい旋律の流れが鮮明に意識でき、素晴らしい高みへと誘われるような演奏!

これ1曲を聴くだけでも、十分に値打ちがあったと思っています。

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