『ゴイエスカス』とは、スペイン語で“ゴヤ風の音楽”という程度の意味 グラナドスが大変に愛好した同国の画家ゴヤの描いた絵画のマホやマハ(粋な男や女)から受けたインスピレーションを曲として表現したと言われ、 どうやら特定の絵画を題材にした曲ではなさそうです。
【第1部】
第2曲:窓越しの会話 第3曲:燈し火のファンタンゴ 第4曲:嘆き、またはマハ(粋な女)とナイチンゲール 【第2部】
第6曲:終曲(幽霊のセレナード) 昨年亡くなったアリシア・デ・ラローチャは、若者たちの愛の物語を瑞々しく情熱的な表現で描き、いかにもスペイン的と感じられる素晴らしい演奏を展開していますが、 今日は、敢えてジャン・マルク・ルイサダの演奏をエントリーします。 第5曲で“思索的な雰囲気”と書きましたが、彼の演奏は、ストーリー性を重視した音楽を展開。 各曲の冒頭から舞台上の雰囲気を髣髴させる、ラローチャとは異なる味わいを持った名演だと思います。
第1曲:愛の言葉
甘えるような艶っぽさ、悪戯っぽさ等、若い男女の吐息までが生々しく感じられるような、美しく官能的な音楽です。
秘密めいた夜の雰囲気が醸されるのは、人目を忍ぶ密会なのでしょう
。終始もどかしさが感じられる音楽は、会話だけでは思いが伝えられない、そんな情熱的なジレンマが…。
南スペインアンダルシア地方で18世紀から伝わる舞踊や民謡のこと。妖しげな雰囲気で開始され、やがてカスタネットを打ち鳴らしつつタップを踏みながら、曲は情熱的に高揚していきます…。
心の痛手を思わせる切なく悲しげな音楽。冷たい月の光が降り注ぎ、ナイチンゲールの囀りが聞こえてくる、そんなロマンチックな情景が思い浮かびます。
第5曲:愛と死
これまでの4曲では、感情が露わに表現されているのに対し、この曲には思索的な雰囲気が漂います。
過去を回顧するかのように、第1部の旋律が登場し、最後には弔いを想わせる鐘の響きは、若者の死?それとも愛の終焉…?
我々日本人とは死生観が異なるためなのでしょうが、極めて人間的な魂を有する幽霊が登場します。
生者と死者では住む世界は異なれども、こういった風に霊魂の不滅が信じられればどれだけ救われるだろうと、つくづく感じる音楽です。
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