この年彼は、150曲近くもの歌曲を完成させており、その分野では彼の個性は既に開花していました。
しかし交響曲の分野では、未だハイドンやモーツァルトの影響が色濃く残されていると言われますが、
それでも第2番に比べると、肩の力が抜けた自然体の、いかにもシューベルトらしい瑞々しさが随所に感じられる作品に仕上がっていると思います。
今日エントーするディスクは、カルロス・クライバー指揮するウィーン・フィルの演奏。
厳めしさは微塵も感じられず、
当意即妙に伸び縮みするフレーズ、チャーミングに歌われる旋律、スポーティーで乗りの良いスピード感等、若々しい音楽が展開されます。
第1楽章序奏部は、泉のごとくに湧きあがるインスピレーションを思わせる瑞々しいもの。
この部分の終結は、テンポを落としつつ短調に傾いていきますが、
続いて提示される主題は、明るく活き活きとしたもの。
クライバーの演奏で聴くその意外性は、鮮やかの一言です!
第2楽章は、無邪気で心弾む主題部と、クラリネットやフルートが奏する懐かしさを覚える中間部…。
第3楽章のメヌエット部は陽気で力強く、
トリオ部は、子供の頃に神社の境内で見たからくり人形のオルゴールを思わせる、ぶっきらぼうな鄙びた懐かしさを感じます…。
終楽章はスピード感に溢れ、曲の進行に伴って、気分がどんどんと高揚していく演奏です。
小学生時代の、運動会での興奮が蘇ってきます!!
これはクライバーの演奏の持つ美質がいかんなく発揮された、ストレスフリーな素晴らしい演奏だと思います。