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W.A.モーツァルト:弦楽四重奏曲第20番 K499 

ウィーン・アルバンベルク弦楽四重奏団


暖かくなりました!昨日の軽井沢の最高気温は15℃だったとか。

標高差が200〜250mほどある5kmのコースを1時間ほどかけて歩いていると、額にはうっすらと心地良い汗が…。

ただ、冬眠から目覚めたクマに出くわさないようにと、見通しの悪い所では、時々大きなかけ声をかけながら歩くのですが、万が一他人様に目撃されたら、さぞかしキモ〜ィ親父と思われることでしょう…。


気温の急上昇に併せたように、鳥の囀りが急に賑やかに聞こえるようになってきました。

そのためか、散歩から帰った後に無性に聴きたくなったのが、ハーゲン弦楽四重奏団の演奏によるモーツァルトの弦楽四重奏曲第20番です。

実は、以前から聴いていた幾つかの演奏では、モーツァルト特有の伸びやかさに欠けるように思えて、決して好きな曲ではありませんでした。


ところが、ハーゲンSQの演奏でこの曲を初めて聴いた時の印象は、鮮烈でした!

とりわけこの曲の第1楽章、

ポリフォニー部で奏される各楽器の透明且つ自由闊達な演奏は、

ちょうど春を迎えた今の時期にあちこちで囀る鳥たちのように、自然界に溢れかえる悦びを表現しているように感じられたのです。


古楽奏法も視野に入れた彼らの演奏は、活気に満ちたアンサンブルの中にも、陰影に富んだ繊細な表現が随所に聴き取れますが、

第2楽章メヌエットでは、主題からトリオへと移行するところの、雲に遮られた陽射しの翳りを感じさせる絶妙な陰影感が秀逸です…。

第3楽章アダージョは、広々としたのどかな雰囲気の中、ヴァイオリンの奏する旋律が雲雀の囀りのようにも聞こえる、心から和める演奏です。

終楽章冒頭は、心の逡巡を思わせる一陣の風が吹き込みますが、主題部は爽やかで軽快な疾走感が…。


古楽奏法を随所に用いたハーゲンSQのモーツァルト演奏、

その全てが素晴らしいと思うわけではないのですが、

この20番に関しては曲想にピッタリとマッチしているように思えて、他の演奏からは得られない感動を得ることができました。

春を迎える初々しい今の季節に、ピッタリの演奏だと思っています。

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