最近聴いたCD

ピョートル・チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第2番 

ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)
ウラジミール・フェドセーエフ指揮  フィルハーモニア管弦楽団


チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と言えば、クラシック音楽が好きな方なら、殆どの方がご存じの曲だと思います。

しかし第2、3番に関しては、コンサートや放送で取り上げられる機会も少なく、私の場合は曲の存在を意識することすらありませんでした。

当時はディスクが高価だったために、多くの一般ファンは、曲も演奏も専門家の評価の高いディスクの中から、どれを買おうかと悩みぬいた末に、ようやく一枚を選択していたのが実情。

一枚一枚を、慎重に選びぬいていたものでした!

ですから、評論家が「名曲の名演」などと美辞麗句を並べるディスクに疑いの目を向ける批判的な精神を持ち合わせていても、

無評価或いは否定的な評価が下されたディスクを、経済的なリスクを冒してまで購入できる人は、殆どいなかったと思います。


今日エントリーする第2番も、嘗ては曲の存在自体すら殆ど無視されていたものでした。

10年ちょっと前でしたか、私がこの曲を初めて聴いた時、特に御第1、3楽章は壮麗で華やかな曲だとは思いましたが、

気持が上の空のような、どこか散漫な印象を受けたことも事実です。

しかしながら第2楽章冒頭部から奏される、ヴァイオリン・チェロ・ピアノとオーケストラによる情緒纏綿たる曲のメランコリーな美しさには、随分惹かれたものでした。

全曲中で最も印象的と思われる旋律ががヴァイオリンやチェロによって奏されるこの曲、ピアニストが好んで演奏しない理由がよく理解できます。


この第2楽章は、原曲では演奏に14〜15分を要するものですが、多分今述べた理由から、チャイコフスキーの弟子だったジロティは冒頭部を大幅にカットし、ピアノパートにも手を加えた「改訂版」を出版しました。

この「改訂版」、ギレリスのピアノ(マゼール指揮、ニュー・フィルハーモニア管)で聴きましたが、第1、3楽章が素晴らしかった半面、

第2楽章は「○○を入れないコーヒーなんて…」というキャッチ・コピーのごとく、実に味気ないもので、

この曲の良さの大半が殺がれてしまったように感じたものでした。

今日エントリーするプレトニョフのピアノと、フェドセーエフ/フィルハーモニア管の演奏は、

これまで私が聴いた中では、華やかさと抒情面がしっくりと調和しており、散漫さが感じられず、この曲の良さを最も感じさせるもの!

もし、「改訂版」しか聴かれていない方は、ぜひ一度原曲の方に耳を傾けていただきたいと思います。

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