この主題は大変に有名で、
リスト『〈パガニーニの主題による〉大練習曲第6番』(ちなみに第3番が、“ラ・カンパネラ”です)や、
ブラームス『〈同〉変奏曲』、
それにラフマニノフの『〈同〉狂詩曲』といった、有名作曲家の作品にも引用されています。
真央さんの演技には、ピアノ伴奏やスキャットの入ったポピュラー的に編曲されて使われていたようですが、
原曲は、無伴奏ソロ・ヴァイオリンのために作曲されたもので、
ヴァイオリン演奏の可能性を究極まで突き詰めた、超絶的な技巧を要する作品といわれています。
若い頃は、ソロ・ヴァイオリンの発する高音部の音色が刺戟的に感じられて、決して好きとはいえなかった楽器でした。
そのために無伴奏で奏でられるこの曲集を、家庭のスピーカーの前で聴くことは殆どないままに、今日に至っていました。
真央さんのエキシビションを観た機会に、五嶋みどりさんの演奏を聴き始めたのですが…。
各曲の旋律が、何と活き活きと、かつ繊細に美しく演奏されているのでしょう。
彼女が17歳の時に収録されたこの演奏、全24曲を聴き通すには77分を要するのですが、
途中第12番迄で一区切りをつけて、2度に分けて聴いたのですが、初めてこの曲集の素晴らしさを感じることができました。
一例をあげると第6番のト短調:Adagio、
揺蕩ようなトレモロに乗って奏される旋律の儚い美しさは、絶品としか言いようのないものです!
もし彼女のエキシビションを観ていなければ、これから先もこの曲を識る機会はなかったかも知れません…。