最近聴いたCD

パガニーニ:24のカプリース(奇想曲) 

五嶋みどり(ヴァイオリン)


女子フィギュアーで使われた曲その3です。浅田真央選手がエキシビションで使った曲は、パガニーニ(イタリア:1782-1840)の『24のカプリース』の第24番イ短調をメインとした編曲ものでしたでした。

この主題は大変に有名で、

リスト『〈パガニーニの主題による〉大練習曲第6番』(ちなみに第3番が、“ラ・カンパネラ”です)や、

ブラームス『〈同〉変奏曲』、

それにラフマニノフの『〈同〉狂詩曲』といった、有名作曲家の作品にも引用されています。


真央さんの演技には、ピアノ伴奏やスキャットの入ったポピュラー的に編曲されて使われていたようですが、

原曲は、無伴奏ソロ・ヴァイオリンのために作曲されたもので、

ヴァイオリン演奏の可能性を究極まで突き詰めた、超絶的な技巧を要する作品といわれています。


若い頃は、ソロ・ヴァイオリンの発する高音部の音色が刺戟的に感じられて、決して好きとはいえなかった楽器でした。

そのために無伴奏で奏でられるこの曲集を、家庭のスピーカーの前で聴くことは殆どないままに、今日に至っていました。


真央さんのエキシビションを観た機会に、五嶋みどりさんの演奏を聴き始めたのですが…。

各曲の旋律が、何と活き活きと、かつ繊細に美しく演奏されているのでしょう。

彼女が17歳の時に収録されたこの演奏、全24曲を聴き通すには77分を要するのですが、

途中第12番迄で一区切りをつけて、2度に分けて聴いたのですが、初めてこの曲集の素晴らしさを感じることができました。

一例をあげると第6番のト短調:Adagio、

揺蕩ようなトレモロに乗って奏される旋律の儚い美しさは、絶品としか言いようのないものです!


もし彼女のエキシビションを観ていなければ、これから先もこの曲を識る機会はなかったかも知れません…。

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