最近聴いたCD

エドヴァルド・グリーグ:2つの悲しい旋律 

ユハ・カンガス指揮  オストロボスニア室内管弦楽団


昨日は、夜明け前から降り始めた雪が、あっという間に15cmほど積もったり、

TVのスィッチを入れると、太平洋岸の各地に大津波警報(初めて聞く言葉でした)が発令されたりしていて、落ち着かない一日でした。

チリ沖の地震によって三陸海岸が大津波の被害に遭ったのは、もう50年も前のことだったのですね。

逆算すると当時は小学校の5年生だった私ですが、南米で発生した大地震の影響が、遥か太平洋を越えた日本にまで被害を及ぼした事実に、大きなショックを受けたことを覚えています。

どうか、震源地での被害が最小限に食い止められますように…。


早いもので、今日から3月!昨日屋根に積もった雪も、朝のうちにはすっかり溶けてしまいました。

そこそこ積もった雪が短時間で消え失せてくれるのは、そこで生活する者にとってはありがたいことなのですが、その儚さには、言いしれぬ感傷が伴なってしまいます。

そしてふと聴きたくなったのが、グリーグ作曲の弦楽合奏のための『2つの悲しい旋律』。

春の息吹に喜びを感じながらも、冬の名残に心を留める、そんな時に感じられる少しばかりのメランコリーな感傷が表現された作品です。


歌曲集『ヴィニエの詩による12の旋律』Op.33の中の2、3曲目を、自ら弦楽合奏版に書き直したもので、

第1曲「胸のいたで」は、静謐な感傷の中に、救われることのできない諦観が感じられる音楽です(残念ながら、歌曲として聴いたことがありませんので、歌詞は不明です)。

第2曲「春(“過ぎし春”とも呼ばれる)」は、「再び冬が、春に時を譲るように去って行くのを見た」という歌詞で始まっており、この弦楽合奏版も、春の明るさの中に人生の無常感が込められた、切なさが感じられる音楽です。


ユハ・カンガス指揮するオストロボスニア室内管弦楽団の演奏は、メジャーオーケストラの演奏とは異なり、ひんやりとした透明感のある合奏が印象的!

北欧音楽の小品には、味わい深いオーケストラだと思いました。

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