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ジョージ・ガーシュイン:ピアノ協奏曲ヘ調 

アンドレ・プレヴィン指揮&ピアノ  ピッツバーク交響楽団


カルガリー五輪フィギュア女子シングルに使われた曲その2です。

今日は、金メダルを獲得したキム・ヨナ選手のフリーの演技に使われた、アメリカの作曲家ガーシュイン(1898-1937)のピアノ協奏曲ヘ調です。


ガーシュインは正規の音楽教育を受けたことはありませんでしたが、1919年に歌曲『スワニー』が大ヒットして、人気ソングライターとして世に知られるようになりました。

その後クラシックにも取り組み、グローフェにオーケストレーションを教わりながら、1924年に『ラプソディー・イン・ブルー』を完成。

その成功によって、ニューヨーク交響楽団の指揮者から、伝統的な様式によるピアノ協奏曲の作曲を委嘱されたガーシュインは、

音楽理論書を基に独力で楽式を学び、この協奏曲のオーケストレーションを完成させたと言われています。


ジャズとクラシックが見事に融合したこの曲に対し、同世代の作曲家ストラヴィンスキーは、絶賛の声を惜しまなかったと言われています。

ただ伝統的な様式に当てはめて作曲されたせいか、

『ラプソディー・イン・ブルー』や『パリのアメリカ人』のように華やかで自由闊達さが前面に押し出された作品ほどの人気は得られませんでした。

むしろ地味な印象すら受けるこの曲ですが、ガーシュインの全てがつぎ込まれた力作で、聴くほどに楽想の豊かさが感じられる曲!

今日、アンドレ・プレヴィンの弾き振りで、ロス・アンジェルス・フィルの演奏を改めて聴き直し、そのことを痛切に感じました。


ところで、キム・ヨナ選手の演技を観ながら感じたのですが、他の選手の演技とは異なり、音楽から受ける感動は、入賞した誰よりも希薄でした。

そのためか、演技は完璧なものとは言われていますが、そこから受ける感動が他の選手と大差あるようには思えず、どうしてこんなに点数が開くのか、疑問に思っていました。

しかし、改めてこの曲を聴いた印象から類推すると、どうもTVの映像を通しては、キム・ヨナの演技の全貌が伝えきれないのではないかと思うようになりました。

四半世紀以上前に、生で見た舞台上でのバレーの躍動感は、映像では決して甦り得ないと感じた、そんな経験があります。

バレー以上にスピード感のあるフィギュアでは、映像で全てをとらえることは、より以上に難しいのではないか…

もし会場で見れば、我々素人目にも歴然とした差が感じられたのではないか、そんなことを考えてしまいました…。

ガーシュインのピアノ協奏曲!珠玉の名品だと思います。

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