選手の皆様には心から「ご苦労さまでした」とねぎらいの言葉をかけてあげたいほどに、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
競技後のインタビューを聞いていると、「自己満足するために、国民の税金を使ってもらっちゃ困るなぁ!」と思うレベルの役員及び選手がうじゃうじゃいるように思うのですが、
フィギュアーとりわけ女子選手の培われた世界レベルの実力と、それをオリンピック本番で発揮した精神力の強さには、頭が下がる思いがしました。
今日は、銅メダルに輝いたカナダのロシェット選手が使ったサン=サーンス作曲の歌劇『サムソンとデリラ』をエントリーします。
この歌劇は、旧約聖書の士師(=ヘブライの民が苦難に陥った時に救いに現れるヒーローのこと)記に登場する物語を題材にしたもの。
紀元前のパレスチナが舞台で、
異教徒ペリシテ人に征服されたヘブライの民を救うために、神から授けられた並はずれた怪力を持つサムソンが、
ペリシテ人の女性デリラの美しさに魅惑され、愛の証と引き換えに、ついには自らの怪力の秘密を告白したために、
その能力を奪われてペリシテ人の奴隷となってしまうが、
後悔した彼は、自らの命と引き換えにヘブライの人々を救ってくれるように神に祈ることによって、その怪力を取り戻し、
ペリシテ人の神を祀る神殿の柱を叩き折って崩壊させ、ペリシテ人ともども瓦礫に埋もれて息絶えるという、
サムソンの自己犠牲によって、>ヘブライの民の苦難が救われた、という内容のもの。
歌劇全体の中では、第2幕第3場で、ダリラがサムソンに怪力の秘密を明かすように説得する「あなたの声に私の心は開く」がとりわけ有名ですが、
このアリアを歌うメゾソプラノのオルガ・ボルディナの声は、官能的な音色の中に清純さを忍ばせたような、女の魔性を感じさせる素晴らしいものです!
コリン・デーヴィス指揮するロンドン交響楽団も、大変に集中力の高い演奏で、
どうかすると散漫な印象を与えるサン=サーンスの大曲を、エキゾティックに美しく、最後まで飽きさせることなくまとめ上げています!
ロシェット選手のお母様のご冥福をお祈りしつつ、一気に全曲を聴き通しました。