後で作曲されたホ短調の方が先に出版されたために第1番、ヘ短調が第2番と、逆にナンバーリングされることになりました。
19歳の青年ショパンの若々しくロマンに満ちた詩情溢れる第2番ですが、
とりわけ第2楽章は、「恥じらいのため、いまだ一度も口を聴けずにいた初恋の人コンスタンチアへの思いを込めた作品」と言われています。
こんな純情なエピソードが伝わる曲ですから、
音楽や小説から受ける感動を、なにかと青春時代の己が身に置き換えて美化したがるオジサンは、
時に胸が締め付けられるほどの懐かしさを覚えながら愛聴しているのです。
そんなわけで、ショパンの2曲の協奏曲に関しては、私は若いピアニストの瑞々しい感性が溢れる演奏の方が、より相応しいのではないかと考えていますし、
現に大家と呼ばれるピアニストの新旧のディスクを比較しても、若い頃の方により魅力を感じます。
アルゲリッチ然り、今日エントリーしたツィメルマンも然り…。
ただ、1978年のアルゲリッチの旧盤は、オケパートが鈍重で、
彼女の閃きに富んだ演奏から生まれる迸るような情熱の表現とがかみ合っていないこと、くれぐれも残念に思います…。
今日エントリーしたツィメルマンの演奏は、ショパンコンクール優勝から4年後の21歳の時のもの。
端正で、かつ初々しさに溢れた彼のピアノと、
それを支えるように、隅々にまで丁寧に彫りが施されたジュリーニの指揮ぶりは、絶妙のもの。
聴く度に新たな感動が発見できる、素晴らしい演奏だと思います。