首都ヘルシンキでの社交界の生活にどっぷりと浸かった享楽的な生活のために、健康を害してしまいました。
そのため1904年に、首都から30km離れたヤルヴァンパーという田園地帯に引きこもり、そこで生涯を送ったと言われています。
大自然に囲まれた生活は彼の創作意欲を復活させると同時に、作風にも大きな変化を与えたと言われています。
即ち、それまでの民族的なエネルギーに満ちた後期ロマン派的な作品から、
シンプルで古典的でありながらも、北欧の自然を感じさせる作品が生み出されるようになりました。
1907年に完成されたこの交響曲は、そんな変換点となった作品と言われています。
とりわけ第2交響曲終楽章での民族のエネルギーが横溢した壮大なドラマと比較すれば、シベリウスが目指した境地が理解しやすいかと思います。
第1楽章は、いきなり飾り気のない素っぴんの第1主題が奏されてちょっと驚くのですが、徐々に気分は高揚していきます。
少し憂いを含んだ第2主題も、純朴そのもの。
遠雷を思わせるティンパニーの轟き、
鳥の声を思わせるフルートやピッコロの音色、
そして夜空に輝きながら、刻々と変化していくオーロラを髣髴させるようなクラリネットやオーボエ、ファゴットの響。
素朴さの中に、実に多彩な楽想が盛り込まれていると感じます。
変奏曲風の第2楽章のメランコリーな旋律は、北欧のほの暗い田園風景と、孤独の中に移ろいゆく心情が表現されたような、内省的な音楽です。
第3楽章は、素朴で情熱的な舞曲風に開始されますが、
次第に高揚感を増し、時に雄叫びのような金管の咆哮も聴かれますが、それは春を迎える喜ばしさに譬えれば良いのでしょう。
あくまでも慎ましやかな喜びに満ちた、素朴な音楽です!
アシュケナージが指揮者としてデビューして間もなくの1983年にフィルハーモニア管を指揮した演奏は、若々しいエネルギーの中に、北欧の幻想的な抒情を湛えた素晴らしい演奏だと思います。
発売当初から現在に至るまで、それほど注目される演奏ではないようですが、私はこの演奏で第3番の熱烈なファンになりました。