最近聴いたCD

エドヴァルド・グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第1番  

オーギュスト・デュメイ(vn)  マリオ・ジョア・ピリス(p)


陽射しが日ごとに強まり昨今ですが、特に立春の頃になると聴きたくなるのがノルウェーの作曲家グリーグ(1843-1907)のピアノのための抒情小曲集や、室内楽作品です。

我が家は山の北東斜面に位置するために、夏場は涼しくてよいのですが、

晩秋から初冬の頃には、午後の3時半を過ぎると薄暗くなってくるために、気持が鬱々としてきます。

その分、小寒を過ぎる頃から陽射しが強くなることには人一倍敏感で、

立春の頃になると、例え寒さは厳しくても(今朝は-12℃でした)、気持の上では、既に春の到来を感じているのです。


この曲はグリーグ22歳の時に作曲されたもの。

この頃のグリーグは、自国の文化への興味が高まり、

作品に民族主義的な傾向が強く表現されるようになったと言われています。


第1楽章は、待ち焦がれた春の兆しが感じられるような憧れに満ちた旋律や、

雪融け水が滴るような瑞々しい抒情が感じられる、大変に美しい楽章です!

第2楽章は、少し憂いを含んだ洗練された三拍子の舞曲と、

中間部でのアコーデオンやバグパイプの音色を模したような民族舞踊風の音楽との対比は、心躍るような北欧の情緒を堪能できる楽しさが…。

第3楽章は情熱的で、かつほのぼのとした温かい雰囲気が漂う音楽です。

ピアノが奏する旋律に呼応してヴァイオリンが歌う部分などは、

恋する男女の息のあった阿吽の呼吸を思わせるような、ほほえましさすら感じられるもの!


今日エントリーしたデュメイ/ピリスのデュオは、この曲の持つ土臭さには若干欠けるようにも思えますが、

逆に洗練された瑞々しい抒情と、静かに燃える情熱が、そんな過去に聴いた演奏の印象を払拭するような、大変に美しい演奏だと思います。

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