第1、2集は独奏ピアノのための、そして第3集が今日エントリーした管弦楽のための作品。
第1曲「ジーグ」とは、17〜8世紀にヨーロッパで流行した3拍子系の舞曲のリズム。これにバグパイプ風の主題を用いることによりイギリスの雰囲気を…、
第2曲「イベリア」は、「街より、道より」「夜の香り」「祭りの日の朝」の3曲から構成されていますが、ここではカスタネットの音色、ハバネラのリズム、弦のピチカートやクラリネットの旋律がスペイン情緒を…、
第3曲「春のロンド」ではフランス民謡「私達はもう森へは行かないだろう」を使うことによって、
それぞれの国の特徴を表現したと言われています。
この曲の演奏については、多くの方からアンゲルブレシュト/フランス国立放送管盤をお薦めいただきましたが、CDが品切れで入手不能のために未聴。
それでも自分なりに満足している演奏は幾つかあります…。
一時期は、それぞれの楽器の音色が大気の中に漂うように奏されるデュトワ/モントリオール管の演奏に、えも言われぬ趣を感じていたのですが、
最近はマルティノン/フランス国立放送管の、生命の誕生を思わせる神秘的なダイナミズムや、むせかえるような異国情緒を明確に表出した演奏に強く惹かれるようになってきました。
第1曲「ジーグ」では、冒頭の霧の中から立ち上るようなオーボエ・ダモレの印象的な旋律から、新しい命の誕生を感じてしまいます。
第2曲「イベリア」では、
「街から、道から」での情熱的で活気のある盛り上がりや、
「夜の香り」での薄暗い街灯に照らされた暗闇や、そこに立ち上る官能的な雰囲気の表現が秀逸と感じました…。
第3曲「春のロンド」では、断片的に奏される冬のような印象の冒頭から、一斉に植物が芽吹き花開くように、爛漫の春を思わせる愉しげで躍動感に満ちた音楽!
私には第1、3曲から、それぞれの国を髣髴することこそできませんが、
逆に大自然の息吹すらが感じられる、素晴らしい演奏だと思っています。