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チャイコフスキー:交響曲第1番『冬の日の幻想』

マリス・ヤンソンス指揮  オスロ・フィルハーモニー管弦楽団


昨日は雲一つない、きりっとした快晴で、寒気団に加えて放射冷却現象のために最低気温が-15℃と、今冬一番の冷え込みでした。

一夜明けた今朝の空は、少しぼんやりとして、陽射しも柔らかく感じられます。

周囲の雪景色の中、僅かに春の到来を感じるようになると、チャイコフスキーの『冬の日の幻想』のメロディーが思い浮かんできます。

さらさらとした粉雪の感触が感じられる第1〜3楽章と、来るべき春の到来を寿ぐような、喜びに溢れた第4楽章が、今の時期にまさにピッタリ!


第1楽章冒頭の弦のトレモロと、それに乗って奏されるフルートの音色を聴くと、陽射しの明るい広大な雪原に佇んでいるような、そんな開放的な気分に包まれます。

第2楽章は、響きを抑えたヴァイオリンの、さらさらとした爽やかな音色の中、オーボエ、チェロ、ホルンの順で奏されるメランコリーな旋律の美しさが際立ちます。

時折吹く風が雪原の粉雪を舞い上がらせるような、第3楽章のスケルツォ。中間部で奏でられる素朴なワルツ風のメロディーは、白昼夢のような儚い美しさが感じられます。

ファゴットのほの暗い動機で開始される第4楽章は、すぐに力強く快活な音楽へと発展し、
第1主題がフーガ風に展開されていくところは、待ち望んだ雪解けの季節を迎える歓びを感じてしまうのです。


個人的な好みですが、この曲にはオーケストラの豊潤で輝かしい音色や、金管の咆哮は相応しくないような気がします。

マリス・ヤンソンス指揮するオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴くと、厳冬期のロシアの大地で、ひそやかに春を待つ人々の思いが抒情的に歌われた、愛すべき作品と感じられるのです。

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