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オリヴィア・メシアン:彼方の閃光

チョン・ミュンファ指揮  バスティーユ歌劇場管弦楽団管弦楽団


20世紀を代表するフランスの作曲家、メシアン(1908-1992)の最晩年の作品。

ニューヨーク・フィルの創立150周年記念作品として、ズービン・メータとオケから委託されたもので、

メシアンの生涯のテーマであった信仰と、随所に鳥の声が加えられた、全11楽章からなる大規模なものです。


金管のみで奏される柔らかく滲んだような音色が敬虔さを感じさせる、第1楽章「栄光あるキリストの出現」。

第2楽章「射手座」は、“ヘラクレスが放った毒矢に当たったケイロンが、余りの苦痛の為にゼウスに死を願って聞き入れられ、天に昇って星座となった”という神話を題材にしているのでしょうか。
冒頭の弔いのようなゴングの響き、彼方から射し入る光、光の中を飛び回る鳥たちの鳴き声、最後には鎮魂の歌が流れるこの曲を聴くと、そんな話が連想できるのです…。

第3楽章「コトドリと結婚の街」では、忙しく巣作りに励む鳥たちの描写が…。

第4楽章「刻印された選ばれし者」では、鳥たちの落ち着かない不穏な鳴き声や挙動が…。

第5楽章「愛にとどまる」では、敬虔さと崇高さ故の禁欲的な雰囲気に支配された音楽で、凡人の私が聴き辛く感じるのは、曲に由来するのか、演奏に由来するのかは分かりません…。

第6楽章「7つのトランペットと7人の天使」では、打楽器とトランペットによって啓示的な予言を思わせます。

第7楽章『そして神はことごとく涙をぬぐい去ってくださる」では、柔らかい光の中で飛び回る小鳥たちの声が…。

第8楽章「星々と栄光」では、凶兆を思わせるような不気味さ、星の瞬きとシンクロしたような鳥たち淋しげな鳴き声、そして最後に表われるバーバリズムは、何を象徴しているのでしょうか。

第9楽章「生命の樹に宿る鳥たちの喜び」では、静寂の中で歌い交わす鳥立ちの声が…

第10楽章「神の道」では、地獄に吹きすさぶ風のような、厳しさが…

第11楽章「キリスト、楽園の光」での敬虔な音楽は、私には余りに禁欲的に過ぎて…。ただ最後の持続音に、一条の温かい光が聴き取れるのです…。


楽譜が全く読めない私が、他の演奏と聴き比べることなしに書いた印象ですので、これらが曲に由来するのか、或いは演奏に由来するのか、判りません。

しかし私にとっては、鳥たちの声が何かを象徴するように聴き取れ、強い求心力を有する魅力に溢れた曲と感じられましたので、時間をおいて何度か聴いてみたいと思います。

もし、お薦めいただける演奏がありましたら、ぜひご紹介ください!

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