最近聴いたCD

ベーラ・バルトーク
2台のピアノと打楽器の為のソナタ

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ、スティーヴン・ビショップ・コワセヴィッチ
打楽器:ウィリー・ハウドオスワールト、ミカエル・デ・ルー


バルトーク(1881-1945)が作曲家として気力が最も充実していたと言われた時期の1937年に、僅か2ヶ月で完成された傑作。

初めて聴く時、曲名から推してバーバリズムが横溢した曲と覚悟を決めて聴いたものですが、とんでもない!各種打楽器の音色の繊細な表情に驚き、聴き惚れました。

ちなみにここで使われる打楽器とは、ティンパニー3、木琴、響き線付き小太鼓、響き線なし小太鼓、懸垂シンバル、シンバル2、大太鼓、トライアングル、タムタム(ライナーノートより)で、

2人の打楽器奏者によって演奏されます。


原始の混沌の中に生命の誕生を思わせる予兆をはらんだ冒頭の繊細な表現に始まり、急速にクレッシェンドしてアグレッシブな音楽へと発展する、圧倒的なエネルギー感に魅了される第1楽章!

静寂の中での蠢きを思わせるパーカッションとピアノの響きからは、お互いの呼び掛けに呼応する霊のような神秘的な雰囲気を髣髴する第2楽章!

情熱に溢れた民族舞踊を感じさせる第3楽章!


ピアノも含めて打楽器としてのこれら楽器が描く世界は、

時に鮮血が迸り出るような情熱と、

透徹した静謐さを湛えた抒情に、

思わずを呑むような素晴らしい曲だと思うのです。


ハンガリー人の演奏で聴くバルトークも、確かに興趣を抱けるものですが、

これほどの傑出した作品になると、民族性云々という評価は、全く無意味なことのように感じます。


今日聴いたアルゲリッチ盤は1977年に録音されたものですが、

彼女にはもう1枚、1994年にネルソン・フレーレのピアノ、ペーター・ザ―ドロとエドガー・ガッジースの打楽器による演奏があります。

この演奏では、とりわけ打楽器の音色の多彩さに魅力を感じますが、

私は(多分アルゲリッチの)即興的な感性の閃きが迸る、若い頃のこちらの演奏の方に、より強く惹かれるのです。

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