最近聴いたCD

アントニン・ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界』

ラファエロ・クーベリック指揮  ベルリン・フィル


2010年の聴き初めは、クーベリックが1972年にベルリンフィルを指揮した『新世界』でした。

数日前から、「聴き初めは何にしようか」と幾つかの候補を考えてはいたのですが、

直前になって、素晴らしい幸運が訪れることよりも、大過なく日々過ごせることを願って、突然この曲を思い立ちました…。

『新世界』って、なぜかそんな曲のような気がするのです。


この曲を、一体何十種類の演奏で聴いたことでしょうか。

聴き慣れたを通り越して、曲を耳にするたびに「またか!」と辟易したために、10年以上全く耳にしなかった時期もありました。

しかしそのおかげで、今はすごく新鮮な気持ちで聴けるようになりました…。


この演奏、ドヴォルザークの交響曲全集中の一枚なのですが、多分これまで一度も聴いていなかった筈…。

第1楽章は、過剰な感情移入がなされていないからでしょうが、「素朴で簡潔な演奏」という印象を抱きつつ、いつの間にか曲に惹き込まれていました。

第2楽章のイングリッシュホルンのメロディーの素朴な音色は、まるで牧笛の響きのような鄙びた味わい!

この有名な旋律は、これまで様々な演奏で聴いてきましたが、

多くが情緒纏綿とした歌を奏でる中、こんなに素朴で味わい深い感慨は抱いたのは初めてのことでした。

それだけに、中間部のメランコリーな旋律の美しさが、より一層際立つように感じます。

第4楽章第1主題は、鉄道好きと言われるドヴォルザークらしく、加速する蒸気機関車に夢を託したような、素晴らしい推進力で開始されます。

この音楽が鎮まって、クラリネットによって奏される第2主題は、突然水平線の彼方まで凪いだ大海原が眼前に広がるような素晴らしさ!

この瞬間、今年の聴き初めにこの曲、この演奏を選んだことに、大きな満足考えられました。

やはりこの曲は、素晴らしい名曲であること、改めて認識した次第です!

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