最近聴いたCD

アルカンッジェロ・コレッリ:
合奏協奏曲op.6-8『クリスマス協奏曲』 

トレヴァーノ・ピノック指揮  イングリッシュ・コンサート


今日はクリスマスという単純な理由で、イタリアバロック期の作曲家コレッリ(1653-1713)の『クリスマス協奏曲』を取り上げることにしましたが、

この曲は敬虔なキリスト教信者であったコレッリ自身が「キリスト降誕の夜のために」と楽譜に記した曲であり、

クリスマスの真夜中のミサで演奏されることを目的とした作品と理解して良さそうです。

曲自体も宗教的な香りと気高さに包まれたもので、本来の意味でのクリスマスの夜に相応しい一曲と言えるでしょう


厳かに開始される第1楽章冒頭部が、Grave(荘重に)へと移行すると、曲は奇跡が起こるような予兆をはらんで、美しく神秘的な雰囲気が高まっていきます。

第2楽章は、キリストの誕生に感動し、湧きあがるような慶びの音楽…。

第3楽章はカノン風の落ち着いた音楽で、心地よい穏やかさに包まれますが、同年生まれのドイツの作曲家パッヘルベル(1653-1906)の有名なカノンを連想するのは、深読みのしすぎでしょうか…。

第4楽章では、鳥たちが歌い交わすような喜ばしさに溢れた音楽が、

そして第5楽章では、厳かさの中にも、より一層の輝かしさが感じられる音楽へと発展し、喜びは最高潮に!

第6楽章のパストラールは、“キリスト降誕の際に野原で羊飼いたちが笛を吹いていた”という聖書の記述に基ずいて挿入される音楽と言われています。
牧笛やバグパイプを模した穏やかで素朴な音色が、自然や神への感謝を感じさせつつ、全てを静かに包み込むようにして、曲は終わります。


ピノック/イングリッシュ・コンサートの古楽によるピリオド演奏では、厳かさや輝かしさ、それに終楽章パストラールの素朴な雰囲気が、たった今生まれたばかりのように表現されており、感動的な演奏だと思いました!

ホームページへ