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ショパン:即興曲(全4曲) 

ピアノ:アルトゥール・ルービンシュタイン


ロマン派の時代における即興曲とは、本来意味するところの「アドリブで即興的に演奏した曲を譜面化した作品」だけに限らず、

それ以外にも、『ワルツ』『マズルカ』『ポロネーズ』等のように、舞曲のリズムを用いた作品には該当しないもの、

そして、『ソナタ』『スケルツオ』『バラード』等のように、一定の形式を持つ作品を除外した、形式的に分類不能な作品の総称と言われているようです。

中でもシューベルトとショパンの作品は、飛びぬけて有名で、広く愛好されている作品と言えるでしょう。


第1番の主部は、サロン風の音楽ですが、“久しくとどまりたるためし”のない水の流れように、どことなく無常観が漂います。中間部は、恋焦がれるような憧れに満ちた、美しい音楽です。

第2番の主部は、子守唄を思わせるようなシンプルな旋律が、装飾音で美しく彩られていきます。対照的な曲想の中間部は、意気揚々とした音楽で、ほほえましさすら感じられます。

第3番の主部も、1番同様にサロン風の愛らしい曲想ですが、微妙に変わる色あいが心地よい揺らぎを感じさせる趣の音楽。(聴き手にとって)境目が明確でない中間部は、やや感能的とも思える心地良さが…。

最も有名な『幻想即興曲』は、第4番となっていますが、実は4曲中一番最初に作られた作品。

一説によると、ショパンはこの作品が気にいらず、生前に出版されることを拒否したそうですが、

彼の死後、弟子のフォンタナが残された草稿をもとに編纂し、遺作として出版。ショパンの4番目の即興曲ということになったようです。


私がショパンの曲に最初に感動したのは、ルービンシュタインが演奏する『幻想即興曲』のLPを聴いた時でした!

燃えたぎるような情熱を湛えつつも颯爽と演奏される主部と、中間部の感情が溢れ出ずるような美しい歌!

ルービンシュタインの即興曲は、他の3曲に関しても、瑞々しい抒情と品位の高い格調が保たれた演奏。この演奏を超えるディスクには、なかなか出会えそうにはありません。

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