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フランツ・リスト:ピアノ協奏曲第1番 

ピアノ:ラザール・ベルマン
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮  ウィーン交響楽団


リスト(1811〜1886)は、1930年代からこの曲の構想を練り始め、1949年にひとまず書き上げたものの、その後も改訂を加え、

1955年に、ベルリオーズの指揮とリスト自身のピアノによって、ようやく初演の運びとなった作品。

なぜこれほどの時間を要したの、私が目にした範囲の解説書では、その理由が触れられておりませんので、ご存じの方がおられましたら、是非ご教示ください。


4楽章で構成されていますが、全曲は休むことなく、続けて演奏されます。

私が一番好きな演奏は、ベルマンのピアノと、ジュリーニ指揮するウィーン交響楽団によるもの。

この演奏の素晴らしさは、ジュリーニの曲想をしっかりと刻銘に表現するオーケストラと、

19世紀的なヴィルトゥオーソピアニストを自認するベルマンが展開する、みずみずしい繊細さとロマンの色濃い豪放さが、

全曲を通して見事にマッチングしており、その相乗効果によって、これまで聴いたどの演奏よりも味わいの深さが感じられるからです。


第1楽章冒頭の劇的な華々しさと、甘く切なさが漂う音楽との対比の妙…。

第2楽章の、各フレーズの繊細な明晰さを保ちつつも、深い息づかいが素晴らしいピアノとオケの絶妙のバランス。

第3楽章のトライアングルの音色は、私が聴いた演奏では最も音量が小さく、これなら『トライアングル協奏曲』と揶揄されることはなかったでしょう。第2楽章とのつながりからいっても、こちらの方が自然な流れと感じるのですが…

終楽章では、前述した豪快さと繊細さを併せ持った美しい音楽が、白熱しながらコーダへと展開していく素晴らしさ!

私が知る範囲でのリストのオーケストラ作品中では、その際立った抒情と美しさで、最も好きな曲であり、演奏です!

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