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サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第2番 

ヴァイオリン ウルフ・ヘルシャー
ピエール・デルヴォー指揮  ニュー・フィルハーモニア


サン=サーンス(1835〜1921)45歳時の作品。

彼は少年の頃から様々な分野に興味を示していたそうですが、

長じると作曲家としてだけではなく、

詩・天文学・数学・絵画などの分野でも、超一流の才能を発揮したと言われています。

ただ、そんな才能から溢れ出る多くのインスピレーションを、惜しげもなく曲に盛り込んだためか、

交響曲や協奏曲といった規模の大きな作品を聴く時、感性の豊かさや美しさに惹かれる半面、

時に饒舌に過ぎると思えることがあり、辟易したことも、少なからず経験しています。


彼のヴァイオリン協奏曲では、以前にエントリーした第3番が飛びぬけて有名ですが、それでも演奏によっては辟易することもあります。

いわんや、ほとんど知られていない第2番は、以前に聴いた演奏では、退屈至極なものでした。

ですから、「いかに第3番で名演奏を聴かせてくれたデルヴォーといえども…」と、大して期待することもなく、興味本位で聴き始めたのですが…。


第1楽章冒頭の、前途洋々たる、希望に満ちた船出を思わせるような爽快な音楽は、まさしくサン=サーンスの真骨頂!この鮮やかさに、たちまち曲に惹きつけられました。

第2楽章、ハープの伴奏に乗って歌われるヴァイオリンソロの、切なく甘美な響きのチャーミングなこと!

第3楽章の生き生きしたオーケストラの表情!特に後半部のコラールの力強さは、以前に聴いた時の散漫な印象の曲とは、まるで別物のよう!


第3番の時も書きましたが、デルヴォー指揮するこの演奏を聴いていると、サンサーンスの音楽が有する饒舌さは、退屈感を催すものではなく、

逆におしゃべりを楽しむような音楽であると、つくづく感じます。

今までは短所と認識していたものが、デルヴォーの演奏によって、初めてその魅力に気付いたのです。

この人、サン-サーンスの交響曲やピアノ協奏曲の全集、残していないのでしょうか?是非とも聴いてみたいものです!

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