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モーツァルト:ディヴェルティメントK.563 

ギドン・クレーメル(Vn)  キム・カシュカシアン(V)
ヨーヨー・マ(Vc)


モーツァルト晩年の傑作であると同時に、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロのための弦楽三重奏曲としても最高峰の作品といわれる、室内楽の名曲!

ところが意外にも、この曲がコンサートで演奏されるとの情報を聴いたことがありませんし、

ディスク化されている数も少なく、7〜8年前に探した範囲では確か6種類程度…。

『演奏技術的にも高いものを要求し、各楽器は時には協奏曲のような妙味も見せ、モーツァルトの他の弦楽四重奏曲よりもよほど難しい<ウィキ・ペディアより>』ことが、その理由なのでしょうか。


全6楽章からなるこの曲の素晴らしさは、

主旋律を奏でる楽器が変わるごとに、伴奏にまわる楽器が即興的に微妙に表情を変化させていく、その阿吽の呼吸にあると思うのですが、

このコンビの演奏は、思わずため息が出るほどに、絶妙な美しさが感じられます。

第1楽章などは、その典型ではないでしょうか!

第2楽章のアダージョは、微妙に移ろいゆく光と影が味わえる、奥の深い素晴らしい演奏!

第5楽章(メヌエット)の中間部、第1、2トリオの、雅で美しい中にも無邪気さが感じられるワルツの愉悦感は絶品!

終楽章のロンド主題は、幼い頃に夕焼けの秋空を見ると感じた物悲しさが甦るような、そんな懐かしさにあふれた音楽です。


モーツァルトの音楽を讃える言葉として、よく『神品のような…』と言われますが、

この曲は、弦楽四重奏曲第14番の終楽章やピアノ協奏曲第27番とともに、

その透明な美しさから、無邪気だった幼い頃の懐かしい感慨を思い浮かんでくる、

まさに神品という言葉に相応しい曲であり、演奏だと思います。

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