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アルベルト・ルーセル:交響曲第1番『森の詩』 

マルク・ヤノフスキー指揮  フランス放送管弦楽団


フランスの作曲家ルーセル(1869〜1937)は、

印象主義から新古典主義(後期ロマン主義の主情性への反逆として唱えられた作曲傾向)へと歩を進めた、

ドビュッシー(1862〜1918)亡き後のフランス楽壇をリードした人材。

1904〜6年にかけて作られた交響曲第1番は、印象主義の影響が色濃く反映された曲といわれており、全4楽章には、それぞれに表題が付けられています。


第1楽章「冬の森」では、梢を吹き抜ける風の音や、冴え冴えとした月明りに照らされた荒涼とした風景が…

第2楽章「春」では、木管楽器の響きが鳥たちの目覚めが表現されており、早春のさわやかな森の風景が…

第3楽章「夏の夕べ」での、雨露の滴りを連想するようなハープの伴奏と、それに乗って歌われるホルンの響きからは、穏やかな静けさに包まれた森の情景が…

第4楽章「牧神と森の精」では、神話の世界を思わせる幻想的で楽しい森のいとなみが…、そんなイメージが湧いてくるのです。

各楽章ともに、標題通りのイメージが髣髴される曲であり、一音一音に聴き入るような魅力を感じつつも、

全4楽章を聴き終わった後に、物足りなさが残るのも事実です。

ロマン派の残像のような抒情が曲全体に漂い、

ドビュッシーやラヴェルの作品と比べると、曲にひらめきが感じられないための印象かもしれません…。

後年のバレー音楽『バッカスとアリアーヌ』や, 交響曲第3番から感じられる生命感あふれるリズムや旋律は、終楽章に僅かに登場するにとどまっています。


とは言いつつも、ロマン派の抒情と印象派の感性が組み合わされたようなこの曲の雰囲気が好きで、結構よく聴いています。

それは、自然の中で暮らしている私の周囲の環境に類似しているせいかも知れませんが…。

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