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メンデルスゾーン:交響曲第2番『讃歌』 

コンネル(S)、マッティラ(S)、ホヴィッツ(T)
クラウディオ・アバド指揮  ロンドン交響楽団・合唱団


1840年、メンデルスゾーン31歳時の作品。

グーテンベルグの印刷技術発明から400年を記念して作曲されたもので、3楽章からなる第一部シンフォニアと、10曲のカンタータからなる第二部によって構成される、全4楽章の作品。

作曲家メンデルスゾーンにとっては、この技術の発明なしには、楽譜の普及、ひいては音楽の普及は、遥かに困難だったと認識していたのでしょう。


そんな作曲家の思いが込められたのか、第1楽章冒頭のトロンボーンの奏する旋律の、朗々として晴れやかなこと!祝典的な気分が、いやが上にも盛り上がります。

この晴れやかさがいったん収まると、メンデルスゾーンらしい美しいファンタジーの世界が繰り広げられます。

第2楽章の高貴で雅やかなワルツにはノスタルジーが漂いますし、中間部ではワルツの合間に挟まれて1楽章冒頭の旋律が登場します。

グーテンベルグの昔を回顧するような趣で、これはなかなかの佳曲だと思います。

第3楽章は、夕べの祈りを思わせる穏やかさに支配された音楽ですが、うっかり聴いていると、どこかブラームスのセレナードを思い浮かべるのですが、ちょっと薄味で…。

終楽章のカンタータは、旧約聖書のドイツ語訳が用いられているそうです。

歌詞の意味を考えながら聴いているわけではありませんが、

6曲目の終わりの部分、久遠から響くように歌われる、ソプラノによる“Die Nacht ist vergangen(夜は終わった)”から、

第8曲コラールに至る音楽の壮大さには、

人声の表現力の豊かさに、酔いしれるような高揚感を覚えました。


それほど多くの演奏を聴き比べたわけではありませんが、アバド指揮するこの演奏は、若々しさが漲った、すばらしい演奏だと思うのです。

私の学生時代の友人で、大阪府下の某市のアマチュア合唱団に所属している男が、オケと一緒にこの曲を歌ったとか!

音痴ゆえに、歌うことはとっくに諦めている私でも、思わず唱和したくなるような、すばらしい演奏でした。

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