最近聴いたCD

ヨゼフ・ハイドン:交響曲第88番『V字』 

レナード・バーンスタイン指揮  ウィーン・フィル


この曲につけられた『V字』という名は、出版社がハイドンの交響曲の選集の出版にあたって付けた整理番号のようなもので、曲の内容とは無関係なもの。

私がクラシックを聴き始めた頃から、ワルターやフルトヴェングラーといった超有名指揮者による演奏が発売されていたために、ハイドンの交響曲中では、94番『驚愕』や101番『時計』と並んで、昔から親しんだ曲でもあります。

彼らの演奏からは、シンプルながらも高い格調を有し、親しみやすく美しい曲との印象を抱いていたものでした。


もう四半世紀も前のことですが、カーラジオから流れてきたこの曲の終楽章の軽やかさに、すっかりノリノリの気分になってメロディーを口ずさんでいたのですが、

曲終了後の解説者の話から、バーンスタイン指揮するウィーン・フィルの演奏(1983年録音)と知り、そのまま行きつけのレコード店へ直行。

躊躇することなく買い求めましたが、改めて値段を見ると、92番とのカップリングで3500円。

今なら2枚分の値段で、ドラティの全集が買えるのですね!


この演奏の特徴を一言でいえば、おおらかで、ユーモアにあふれたもの!

少し勿体ぶった前口上を思わせる序奏部と、雄弁で楽しげな主部との対比が面白い第1楽章。

第2楽章は、大変にゆったりと演奏されるシンプルで親しげな主題が、時折翳を伴ないますが、そこに何ともとぼけた味わいが感じられるのです。

第3楽章のメヌエット主題の毅然としたたたずまいは、転調されながら頼りなげにさまよい、

中間部のトリオも、定まりのない頼りなげな旋律で…!

ところが終楽章では、そんな気分が一新され、

軽快なテンポで転調していく音楽は、天衣無縫な大らかなもの!

人間味あふれる大らかさが最高度に表現された、私の大好きなハイドンの交響曲であり、演奏でもあります。

ホームページへ