私がクラシックを聴き始めた頃から、ワルターやフルトヴェングラーといった超有名指揮者による演奏が発売されていたために、ハイドンの交響曲中では、94番『驚愕』や101番『時計』と並んで、昔から親しんだ曲でもあります。
彼らの演奏からは、シンプルながらも高い格調を有し、親しみやすく美しい曲との印象を抱いていたものでした。
もう四半世紀も前のことですが、カーラジオから流れてきたこの曲の終楽章の軽やかさに、すっかりノリノリの気分になってメロディーを口ずさんでいたのですが、
曲終了後の解説者の話から、バーンスタイン指揮するウィーン・フィルの演奏(1983年録音)と知り、そのまま行きつけのレコード店へ直行。
躊躇することなく買い求めましたが、改めて値段を見ると、92番とのカップリングで3500円。
今なら2枚分の値段で、ドラティの全集が買えるのですね!
この演奏の特徴を一言でいえば、おおらかで、ユーモアにあふれたもの!
少し勿体ぶった前口上を思わせる序奏部と、雄弁で楽しげな主部との対比が面白い第1楽章。
第2楽章は、大変にゆったりと演奏されるシンプルで親しげな主題が、時折翳を伴ないますが、そこに何ともとぼけた味わいが感じられるのです。
第3楽章のメヌエット主題の毅然としたたたずまいは、転調されながら頼りなげにさまよい、
中間部のトリオも、定まりのない頼りなげな旋律で…!
ところが終楽章では、そんな気分が一新され、
軽快なテンポで転調していく音楽は、天衣無縫な大らかなもの!
人間味あふれる大らかさが最高度に表現された、私の大好きなハイドンの交響曲であり、演奏でもあります。