最近聴いたCD

モーリス・ラヴェル:スペイン狂詩曲

アンドレ・クリュイタンス指揮
パリ音楽院管弦楽団


元々は、四手のピアノ曲として書かれたものを、自身がオーケストラ用に編曲した、ラヴェル初期の代表作。

スペイン出身の母親の歌う民謡を聴きながら育ち、その国の音楽には強い共感を抱いていたと言われ、他にも有名な『ボレロ』や歌劇『スペインの時』等が残されています。


音の魔術師と言われるラヴェルのこの作品は、
第1曲:「夜への前奏曲」
第2曲:「マラゲーニャ(スペインの南部のマラガ地方の民謡・舞踏)」
第3曲:「ハバネラ(キューバの民族舞踊・19世紀末にスペインで流行した)」
第4曲:「祭り」
以上の4曲から構成されています。

曲想は、それぞれに付けられた標題から推察できる通り、スペイン情緒が描かれた作品なのですが…

その情緒も、演奏者によって、実に様々に描き分けられて表現されています。


昨日聴いたのは、クリュイタンス/パリ音楽院の日本公演ライヴ、ミュンシュ/パリ管弦楽団(パリ音楽院が発展的に継承されたもの)、そしてチェリビダッケ/シュトゥットガルト管弦楽団による、3種類のディスク。

それぞれが名演奏だと思うのですが、三者三様の表現の違いが際立っているように記憶していましたので、敢えて聴き比べてみたわけです。

クリュイタンス盤からは、嘗て訪れたことがある、懐かしい想い出の地を思い返すような、そんな感慨が…

ミュンシュ盤からは、現在進行形で、スペインのメインストリートから見る、きらびやかな情景が…

そして、チェリビダッケ盤からは、同じ現在進行形でも、薄暗くって妖しい雰囲気の裏通りをさまよっているような…。


どれも素晴らしい演奏ですが、あえて選ぶとすれば、クリュイタンス盤でしょうか。

高校一年生の時に、NHK・TVの映像で見た、指揮棒の先から音楽が紡ぎだされるような、彼の優雅な指揮ぶりを思い出すとからという理由で…。

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