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シベリウス:『カレリア』組曲 OP.11

サー・コリン・デーヴィス指揮  ロンドン交響楽団


曲名の『カレリア』とは、現在のスェーデン南東部からロシア北西部に広がる地域で、フィン人発祥の地と言われています。

1892年、シベリウスは新婚旅行にこの地を訪れました。

そして翌年には、ヘルシンキ大学の学生から、カレリア地方の13〜19世紀(スウェーデンの統治下)の歴史を描いた野外劇を演ずるための劇中音楽を依頼され、快諾したと言われています。

しかし、この音楽は不評だったために、シベリウスは直ちに殆んどの曲を破棄しましたが、その中の3曲は『カレリア組曲』として残され、現在でも度々演奏されています。


詳しいストーリーは不勉強のためによく分かりませんが、3つの場面は、以下のような設定になっています。

<第1曲“間奏曲”>
統治者であるリトアニアの公爵が、税の徴収に出かける場面

<第2曲“バラード”>
亡き統治者を、吟遊詩人が追想する場面

<第3曲“行進曲”>
愛国者が城に入場する場面


そんな能書きを無視して、デーヴィスの演奏で聴くこの音楽は…

第1曲は、朝靄に包まれた深い森の中を、ホルンの音色がこだまし、遠くで人々の行進する気配が感じられる、幻想的なロマンに溢れた音楽と聴き取れます。

第2曲で奏される淋しげなイングリッシュホルンの音色は、これまでに聴いたどの演奏よりも孤独感がにじんだ美しさで、超一級の名優の語りに譬えられるような音楽。

第3曲では、ウキウキと高揚する気持ちが抑え目に演奏されており、そのために逆に静かな感慨に浸れる名演です。

少し地味目の演奏ですが、味わいの深さはピカ一だと思います!!

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