1892年、シベリウスは新婚旅行にこの地を訪れました。
そして翌年には、ヘルシンキ大学の学生から、カレリア地方の13〜19世紀(スウェーデンの統治下)の歴史を描いた野外劇を演ずるための劇中音楽を依頼され、快諾したと言われています。
しかし、この音楽は不評だったために、シベリウスは直ちに殆んどの曲を破棄しましたが、その中の3曲は『カレリア組曲』として残され、現在でも度々演奏されています。
詳しいストーリーは不勉強のためによく分かりませんが、3つの場面は、以下のような設定になっています。
<第1曲“間奏曲”>
統治者であるリトアニアの公爵が、税の徴収に出かける場面
<第2曲“バラード”>
亡き統治者を、吟遊詩人が追想する場面
<第3曲“行進曲”>
愛国者が城に入場する場面
そんな能書きを無視して、デーヴィスの演奏で聴くこの音楽は…
第1曲は、朝靄に包まれた深い森の中を、ホルンの音色がこだまし、遠くで人々の行進する気配が感じられる、幻想的なロマンに溢れた音楽と聴き取れます。
第2曲で奏される淋しげなイングリッシュホルンの音色は、これまでに聴いたどの演奏よりも孤独感がにじんだ美しさで、超一級の名優の語りに譬えられるような音楽。
第3曲では、ウキウキと高揚する気持ちが抑え目に演奏されており、そのために逆に静かな感慨に浸れる名演です。
少し地味目の演奏ですが、味わいの深さはピカ一だと思います!!