ロシア国民楽派の祖であり、後のボロディン・ムソルグフスキー・リムスキー=コルサコフ等五人組に影響を与えた作曲家、
日本でよく演奏されるのは、歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲くらいでした…
ところがここ10年ほどのうちに、『ドン・ジョバンニの主題による変奏曲(ハープ版)』、『悲愴三重奏曲(クラリネット・ファゴット・ピアノ)』、『ひばり(歌曲)』、『ヴィオラ・ソナタ』等を聴くようになって、
「もしかすると、チャイコフスキー以上に、メランコリーで美しい旋律を書いた作曲家ではないか…」と思うようになりました。
特にモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』の変奏曲が、見事なまでにロマンティックな作品に仕上げられているのには、驚いたものでした。
その中でも『ヴィオラ・ソナタ』は、とりわけ美しい旋律をもつ作品ではないでしょうか。
2つの楽章から構成されるこの曲を初めて聴いたのは、今井信子さんのヴィオラ、ローランド・ポンティネンのピアノ伴奏によるもの。
特に第1楽章での、情緒顛綿と歌われる旋律や曲の展開に陶酔し、私の愛聴曲の一つでした。
ただ最近になって、オルガ・トヴェルスカヤのフォルテ・ピアノ、ノルベルト・ブルーメのヴィオラによる、古色蒼然とした響きに、より深い味わいを感じるようになってきています。
専門家の方がおっしゃるように、曲の構成や展開という面から考えると、名作とは言えないのかもしれませんが、旋律の美しさは必聴もの。
特にロシア音楽の好きな方には、是非お薦めしたい一曲です。。