最近聴いたCD

ヒューゴ・アルヴェーン
スウェーデン狂詩曲第3番『ダーラ』

ネーメ・ヤルヴィ指揮  ストックホルム王立管弦楽団


スウェーデンの作曲家アルヴェーン(1872〜1960)の作曲した3つの狂詩曲(ラプソディー)の一つ。

『ダーラ狂詩曲』とも呼ばれていますが、これはスウェーデン中央部にある地名。

風光明媚な自然や、そこにすむ人々のささやかな喜びに満ちた生活が描かれていたり、

その土地に代々伝えられている物語が、吟遊詩人によって語られる、そんな趣が感じられる音楽です。

冒頭、静寂の中に浮かび上がる、ソプラノ・サクソフォンの冴え冴えとした旋律は、透明な北欧の大気や、そこに脈々と語り継がれた歴史を髣髴させる、物悲しくも美しい音楽。

続いてスウェーデン狂詩曲第1番『真夏の夏至祭』の冒頭とよく似た、民衆の日常を思わせるような、素朴で愉しげな音楽が奏でられますが、熱狂的な大きな盛り上がりはなく、静かにこの部分は終わっていきます。

そして、ハープの伴奏に乗ってホルンが奏でる印象的な旋律へと移行していきますが、

ここは、白夜に輝くオーロラのように、静謐で幻想的とも思える素晴らしい雰囲気が漂います。

この夢のような時間が過ぎると、今度はパストラール風の旋律が奏でられ、それは祭りのような盛り上がりへと発展していきます。

それが鎮まり、今度は弦楽合奏によって哀愁に満ちた音楽が奏でられ、それは戦闘的な音楽へと高まっていきますが、この部分は、ダーラ地域の危機を救った英雄伝説を物語っているのでしょうか。

曲は再び冒頭の静けさに戻り、ソプラノ・サクソフォンの旋律が繰り返されて、静かに曲は終わります。

この曲は、第1番と比べると、華やかさにこそ欠けますが、交響詩を髣髴するような物語性に溢れており、随所に美しい管楽器のソロが聴かれる、魅力に溢れた曲だと思うのです…。

ホームページへ