最近聴いたCD

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番

ヴァイオリン:ウルフ・ヘルシャー
ピエール・デルヴォー/ニューフィルハーモニア管


サン=サーンスの曲、特に小品は、エスプリに富んでいて、しかも美しい曲が多くて大好きなのですが、

交響曲やピアノ・ヴァイオリン協奏曲といった規模の大きな作品を聴くと、時に才に溺れて、饒舌が過ぎるように感じることがよくあります。

彼の代表作とも言われ、パイプオルガンが鳴り響く人気曲、交響曲第3番にしても然りで、

当方には全く興味が持てない類の、とりとめのないおしゃべりを聴くようで、途中で退屈になってきて、最後まで聴き通せないことがよくあります。

有名曲の一つ、ヴァイオリン協奏曲第3番も、そんな曲の一つでしたが…。

しかし、ピエール・デルヴォー指揮するニュー・フィルハーモニア管弦楽団の演奏を初めて聴いた時、他の演奏では退屈で仕方なかった部分が、表情豊かに、楽しめる音楽として表現されており、

そんな演奏に惹かれて、「いい曲だなぁ!」と感じながら、心地良い緊張感を保ったままで、最後まで聴き通すことができました。

これまで私が聴いたこの曲の演奏は、オーケストラをシンフォニックに鳴らすものが殆どだったのですが、

デルヴォーの演奏のように、どのパッセージも表情豊かに、あたかもお喋りすることを楽しむような演奏に出遭ったのは、初めてのこと…

「これがサン=サーンスの音楽の持つ魅力だろう」と感じて、目から鱗の思いがしました。

例えば、甘く心地良い抒情をたたえた第2楽章で、ふと神々しいまでの輝きが感じられて!!

正直に申し上げると、ソロ・ヴァイオリンだけを取り上げれば、チョン・キョンファをはじめとして、もっと素晴らしいと感じるディスクはあるのですが、

全曲を通してのオーケストラ伴奏の秀逸さゆえに、お薦めできるディスクだと思います。

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