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ウェーバー:歌劇『オイリアンテ』序曲

フルトヴェングラー指揮  ウィーン・フィル


カルロ・マリア・フォン・ウェーバーの名前は、小さい頃から知っていました。

小学校の音楽教室には、年代順にバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン等に続いて、確かシューベルトと隣り合わせに、顔が長めで鼻の高い、なんとなく女っぽい感じの肖像画が掲げられていました。

教科書には、彼の代表作『魔弾の射手』序曲の、序奏に続くホルンが奏する旋律に歌詞が付けられて(確か“秋の夜半は…♪”)載っていましたので、自ずと名前を覚えたのでしょう。

ただ、私には『魔弾の射手』の印象が飛び抜けて強く心の刻まれていたために、

他のどの作品を聴いても、同じ設定、即ちドイツの鬱蒼とした深い森と、そこで展開される中世の騎士道的な物語しか思い浮かばず、

興味を持って色んな作品が聴きたくなるような、そんな作曲家ではありませんでした。

この曲も例外ではなく、そんな固定されたイメージの中の一曲なのですが、

ただ、勇壮な第1主題が鎮まって、遠くから聞こえてくるような、夢見るように美しく、精神の気高ささえ感じられる弦の奏する第2主題を聴くと、

『魔弾の射手』以上に、ドイツロマン派音楽の美しいエッセンスに触れるようで、何とも言えない感慨に、鳥肌の立つ思いがしたものでした。

昔は(この口癖、年齢のせいですね!)メンゲルベルク、トスカニーニ、フルトヴェングラーといった大御所が、こぞってこの曲を演奏しており、それぞれに味わい深い名演奏を録音してくれました。

この曲を初めて聴いたトスカニーニ/NBC交響楽団の演奏では、前述した第2主題の歌心に溢れた演奏に、心底痺れましたが、

同じ部分、神々しいまでの美しさに溢れた、フルトヴェングラー/ウィーン・フィルの、奇跡のような美しい弦の響きが、私には最高の演奏と感じられるのです。

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