曲名からイメージして、かささぎ(カラス科)の、人を食ったようなおどけた動きを表現していると思いこんでいたのですが、
Wikipediaを見ると、なんと死刑台に向かうヒロインを暗示した音楽とか…。
オペラの筋書きは、
ヒロインに横恋慕したお代官様が、彼女を自分のものにするために、家庭内窃盗の罪で死刑を求刑して恩赦を願うように画策する。
彼女を救いたい一心の恋人は、光ったものを集めるかささぎの習性に気付き、鳥が真犯人だと主張する。
すったもんだの末に、最後は領主や国王までが登場して、ヒロインは救われる、という類のものですから、
シェークスピアの喜劇のように、人間の真実を鋭く描いた作品かどうかは別として、
要は面白おかしく聴いて、最後はひたすらロッシーニ・クレッシェンドの盛り上がりを楽しめれば、先ずはめでたしめでたし、という音楽だと思うのです。
ところで、我家では今、同世代の作家村上春樹氏の『1Q84』の大ブームに乗っかって、今まで興味すらなかった氏の作品を、思いつくままに読んでる最中なのです…。
現在進行中の『ねじまき鳥クロニカル』の第1部泥棒かささぎ編の出だしに、FMから流れるクラウディオ・アバドが指揮するロンドン交響楽団のこの曲の演奏が登場していますが、
これが、極めつけの素晴らしい演奏だと思うのです。
前述したロッシーニクレッシェンド、これは軽快なテンポで奏されるフレーズの短い旋律が、テンポと音量を上げつつ、何度も繰り返されていく書法なのですが、
アバド/ロンドン交響楽団の演奏では、これにインスピレーション溢れる即興的な乗りが加わって、
いやがうえにも気分を高揚させる、軽快かつ劇的な演奏効果をもたらしていると思います。
お薦めできる一枚です!