最近聴いたCD

ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』

カルロス・クライバー指揮  ウィーン・フィル
(1992年ニュー・イヤー・コンサート)


一日遅れになりますが、七夕にちなんで、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ『天体の音楽』を、カルロス・クライバー/ウィーン・フィルによる、1992年のニュー・イヤーコンサートの演奏で聴きました…。

フルートに続くハープの美しいアルペジオで彩られる前奏部は、天空から舞い降りてくるような浮遊感を醸し出して、星空へのイマジネーションが膨らむような、その名にふさわしい演奏です。

この冒頭部分を、同じウィーン・フィルの他の演奏と聴き比べるのも、一興かも知れません。

ウィーン・フィルが演奏するウィンナワルツは、誰が指揮しても同じだと、よく言われます。

ウィーン・フィル固有の独特のリズム感、これはある意味極めてローカル色の強いものですが、これに手を加えることは、カラヤンほどの大指揮者ですら、差し控えたと言われています。

そんな確固としたワルツのリズムを、私ごとき素人の聴覚で、指揮者による演奏の違いを判別することなど不可能ですが…

ただ、冒頭部分からワルツへの流れを比較すれば、演奏を選択することのメリットは大きいんだと、きっとお感じになると思います。 

クライバーの指揮するウィンナワルツは、随所にインスピレーションが感じられる、緩急強弱自在の演奏ですが、

それは谷川の水が、地形に沿って急流となったり、緩やかな流れへと変化するように、

自然な流れに身を任せるような、実に爽快で心地良い、いきいきとした表情の音楽と感じられます。

彼の演奏で聴くウィンナワルツだけは、仮にブラインドで聴かされても、多分判別できると思うのです。

クライバーの指揮する『天体の音楽』、特に冒頭の部分は、星座にまつわる様々な伝説をふと思い出すような、そんなファンタジーを感じさせる音楽です。

ホームページへ