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ショパン:ピアノ協奏曲第1番

ピアノ:アルゲリッチ  アバド/ロンドン交響楽団


1968年、アルゲリッチ27歳の時に録音されたもので、発売当初から、多くの人から高い評価を受けている名盤です。

ほぼ10年ぶりに取り出したディスクでしたが…

まず、オーケストラだけによる長い序奏部は、湧きあがる情熱的な部分と、微動だにしない凛とした表情の部分とが、好対照をなす演奏です。

アバドがこんな素晴らしい表現をしていたこと、以前には聴きとることができませんでした…。

序奏部が終わって、瑞々しく鮮烈なピアノ独奏が開始されますが、

若い頃のアルゲリッチのピアノ演奏を、「触れれば鮮血がほとばしるような…」と評する方がいらっしゃいました。

この演奏も、スタジオ録音ながら、

情熱が最高潮に達するフォルティッシモから、透き通るような清冽な抒情をたたえたピアニッシモに至るまで、

スリリングで、インスピレーション溢れる演奏が展開されます。

ショパンが20歳時に作曲されたこの曲の、最高の演奏と確信しつつも、もう一つ捨てがたい演奏が…。

ツィメルマンのピアノと、ジュリーニ/ロスアンジェルス・フィルによる演奏は、気品のある、絶妙な呼吸のオーケストラ伴奏に支えられて、

若々しい中にも、ノーブルな魅力が際立って感じられる演奏です。

その後アルゲリッチは、元のご主人であるデュトワの指揮で、エレガントな伴奏に支えられて、余裕しゃくしゃくとした演奏を…

ツィメルマンは、ショパン生誕200周年に、自らの弾き振りで、きわめてロマンの色濃い演奏を再録音し、それぞれに高い評価を得ていました。

しかし、ショパン20歳の時に書かれたこの作品には、演奏に少々破綻があっても、より初々しい、より瑞々しい感性が相応しいのではないかと、私には思えるのです…。

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