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コレッリ:合奏協奏曲op.6-1

ピノック指揮  イングリッシュ・コンソート


イタリアバロック期の作曲家コレッリ(1653〜1713)。

バロック音楽の作曲家に関しては、普段は「ヴィヴァルディ(1678〜1741)よりも早い時代の人か、それとも…」程度のことしか考えません…。

そんな程度の興味しか持たない私が、合奏協奏曲の第1番を採り上げた理由は、4曲目(分け方によっては5曲目)Allegro楽章のフーガを聴いて、当時としては多分斬新だったのであろう書法に、驚いたからです。

モーツァルト(1756〜1791)の作品の中には、弦楽四重奏曲K.387終楽章や、交響曲第41番『ジュピター』の終楽章のように、音楽が無限に拡がっていくような素晴らしいフーガを書いていますが…

コレッリのこの曲を初めて聴いた時、モーツァルトのフーガ作品の下敷きになっているのではないかと思うほどに、そのひろがりが驚くほど類似していると感じたものでした。

合奏協奏曲の第1番を聴いていると、中間部に置かれたフーガの存在によって、その前後に配置された曲が持っている、のびやかで気品に満ちた美しい旋律をより一層際立たせるように感じられるのです。

イタリア合奏団による、弦やチェンバロの響きが大変に美しい演奏なのですが…、

古楽器によるピノックののびやかで軽快な演奏は、この曲がたった今作られて演奏されているような、初々しさが感じられます。

近年の古楽器による演奏の中には、作曲された当時の斬新性を重んじるあまり、私には少々過激に感じられる演奏が少なからず見受けられるのですが、

ピノックの演奏が素晴らしいと感じるのは、古典としての格式を蔑ろにすることなく、かつその斬新性を重んじる、絶妙なバランス感覚に長けた演奏家だと思えるからです。

曲の持つ深み云々は別として、私はこの曲を楽しむことができました。

そのおかげで、今はバロック期におけるフーガ作品の変遷に、興味を持ち始めたところです。

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