“洗練された瀟洒な美しさ”
“独特のエスプリ”
“アイロニカルな響き”
というような言葉でその特徴が表現されることが多いのですが、
これらの言葉の持つ意味が体得できていない私には、
何となくニュアンスは理解できるものの、彼の曲を聴いて感じた印象とが、いま一つしっくりとこないのが現実なのです。
この曲の第1、第2楽章の主題にしても、これまでに体験したことのない、不思議な曲想なのです。
その不思議さを表現する手段をいろいろと考えましたが、一番ぴったりとくるのが紫という色彩なのですが…
その微妙さ加減をどう表現すればよいのか…
苦肉の策として思いついたのが、この文章のバックに、自分のイメージしたカラーを使ってみること。
現実には、この色彩にビロードのような質感が加われば、この曲から感じられる、高貴さが漂うシュールレアリスムの世界に近づくと思えるのです…。
そして、この曲の持つ独特の浮遊感は、大よそ半世紀前に京都で開催されていた『ルーヴル美術館展』に出展されていた、
J.ミロの油絵『赤い大きな斑点』を眼前で見た時の感慨と共通していることに、ふと気付きました。
最近、彼の室内楽やピアノ曲を聴くと、いつかどこかで体験した記憶があるような、そんな懐かしさを覚えるのです。