最近聴いたCD

アルヴェーン

スウェーデン狂詩曲第1番『夏至の徹夜祭』

エサ=ペッカ・サロネン指揮  スウェーデン放送響


日の暮れる時間が、ずいぶん遅くなってきました。

我が家は、山の北西側斜面にありますので、半年前の冬至の頃には、午後の2時半を過ぎると、陽射しが遮られて山かげとなるために、周囲が薄暗くなり始めます。

家の周囲には街灯もなく、都会のように昼夜の区別が曖昧ではありません。ここでは、昼と夜の生活形態は、はっきりと区別せざるを得ません。

そのせいか、日暮れが日に日に遅くなる今の時期になると、冬のあいだは短かった昼間の分を、今楽しまなくては、と思うようになりました…。

今まで意識したことがなかったのですが、それは白夜の国の人々が、夏の間は陽射しを目一杯楽しもうとする気持ちと、どこか似ているのかもしれません。

北欧の夏は、日本の5月のような爽やかな気候だと言われています。

この曲は、一日中太陽の姿を見ない、暗く長い冬を過ごしてきたスウェーデンの人たちが、そんな爽やかな気候の訪れた夏至の前夜に、夜を徹して楽しむ情景を表したものだと言われています。

アルヴェーンという作曲者の名前や曲名を聞いても、ピンとこないかもしれませんが、曲が始まるとすぐに、「どこかで聴いたような…」と、多くの方が思われることでしょう。

昔、NHK-TVの『今日の料理』のオープニングとエンディングのテーマ曲として、(多分)マリンバで奏されていた、あの曲です!

そんな聴き覚えのある曲が盛り上がって、酔っ払って千鳥足で歩く人の姿が、そこかしこに見られるような情景が描かれます。

騒ぎが一段落すると、オーボエやホルンのソロに導かれて、まどろみのような静けさが訪れますが、ここは曲に身を任せて聴き入ると、白夜の光景が目に浮かぶようです。

ハープの音色を聴いていると、オーロラってこんな幻想的なものだろうかと、ふとそんな思いが浮かんできます…。

曲は一転して、今度は若々しく楽しげな音楽が始まります。

スエーデンでは、夏至祭の前夜だけは、娘が若い男を誘うことが許されているそうですが、そんなのびのびとした喜びに溢れた音楽だと思います。

サロネン/スウェーデン放送響は、さすがに本場の演奏ゆえか、この曲を愉しくロマンティックに演奏しています。

ホームページへ